演繹法から帰納法への昇華

 新事業創造やイノベーションのアイデアを、自社の事業計画に落とし込むことが難しいのは、仮説・検証を繰り返す演繹法的な活動の発想と、計画の忠実な実行に注力する帰納法的な経営とが折り合わないことが原因だ。解決策は、アイデア提案者と事業現場が批判的思考(Critical Thinking)で議論を重ねることだが、実際にはどうすればいいのだろうか。

 批判的思考とは、否定的に相手を批判する思考ではない。組織や市場の常識にとらわれず、「そもそも」を問い直す態度だ。

 そもそも、なぜこのビジネスモデルなのか。そもそも、顧客ニーズの認識は正しいのか――。こうした問いを自らに投げ掛け、既存の事業や新事業の前提を一から問い直すプロセスだ。