精神科医が実践、1日誰とも話さなくても心健やかにいられる方法朝でも昼でも、目が覚めたらとにかくカーテンを開けよう。太陽光は「幸せホルモン」のひとつであるセロトニンの分泌をうながす(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 新型コロナウイルスの流行で、突如として始まった在宅勤務。誰とも直接話ができない「ステイホーム」で、予想外にストレスを抱えてしまったという方も多いのではないだろうか。

 本書『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』の著者は、現役の精神科医だ。メンタルの専門家である著者でさえも、誰とも口をきかずに過ごしているうちに孤独を強く感じてしまい、「このままではいけない」と危機感を覚えたそうだ。本書は、著者自身が試行錯誤しながら実践し、効果があると感じた対処法を集めたものである。

 専門家としての視点からの解説も含まれているが、文体はやわらかく親しみやすい。専門家である著者でもすべてを投げ出したくなったり、疲れたり、コンプレックスを感じたりする。そんな著者が「効果あり」と感じている対処法は、難しいものでも特別なものでもない。紹介されているコツは、どれも気軽に取り入れられそうなものばかりだ。だからこそ、忙しい日常にもすぐに始めることができるだろうと思わせてくれる。

 現在のような感染症の流行時だけでなく、今後も在宅ワークが必要になり、ひとりで過ごさなければならない日々が続くことは大いにあり得る。たとえひとりぼっちで1日誰とも話さなくても、心身ともに健やかに過ごしたいものだ。そんな時に、本書の「楽に生きるコツ」は心を落ち着けるヒントをくれることだろう。暗い気持ちになりがちな現在のような状況であっても、肩の力を抜いて穏やかに生きていける、そんな明るい気持ちにさせてくれる一冊だ。(金井美穂)