ワーケーション会社員増加中、定額制宿泊サービス「HafH」を実体験定額制宿泊サービス「HafH(ハフ)」(著者撮影)

「ワーケーション」という言葉がにわかに注目を集めている。新型コロナウイルスの影響でインバウンドが見込めない観光業界や関係人口を増やしたい地方自治体の動きもあり、少しずつ浸透しているがまだ利用率はそれほど高くない。今年になってワーケーション利用が増えたという定額制宿泊サービス「HafH(ハフ)」を通して、これからの働き方、ワーケーションの可能性を探ってみたい。(地域ジャーナリスト 甲斐かおり)

そもそもワーケーションとは?

 テレワークが一気に進み、どこにいても仕事ができるようになった。職種にもよるが、会社員でも長野の山奥、日本海沿岸、九州の島にいたってパソコン1つあれば普段どおりに仕事ができるようになる。わざわざそんなところへ行ってまで…と思う人もいるかもしれないが、若い世代ほど場所を変えて働くことに関心が高い。

 今年8月に行われた旅行予約サイトなどを運営する「Expedia」のリサーチ結果によると、「ワーケーションをしたことがある」と回答したのは16%だが、「ワーケーションをしてみたいか」に対して「したい」と回答したのは全体の約4割。20代、30代では「したい」がともに5割で、認知度自体もまだ半分と考えると、今後の伸びしろも期待できる。

 そもそもワーケーションとは何か。「会社員が休暇などで滞在している観光地や帰省先などで働くこと。仕事と休暇を両立させる働き方として注目されている」(『知恵蔵』、朝日新聞社)とある。もとはアメリカで有給休暇の取得率を上げるために始まった制度で、日本でもIT企業などがリゾート地で創造性や生産性を高める試みとして用いてきた。

 現状、ワーケーションの捉え方はさまざまだ。ある地方自治体では立派なワーケーション向けの施設を建てて企業誘致、法人利用を推進。民間のホテルが自前でオフィス環境やプランを用意し、近隣の需要を取り込もうとする動きもある。

 個人の旅の延長でワーケーションするスタイルも増えている。休みの日数は限られていても、働きながら旅ができれば、地方での長期滞在も可能だろう。とにかく一口にワーケーションといっても、そのスタイルは多様だ。

 日本でようやく周知され始めた新しいライフスタイルだが、実際どうなのか。今回、全国400カ所以上の宿に泊まることができる定額制宿泊サービス「HafH」を利用して、取材した。