企業にはセクハラ防止に
具体的行動をとる義務がある

 まったくひどい男である。しかし、メールやポストイットは、しっかりと証拠として押収させてもらった。ご丁寧に、わかりやすい足跡を残してくれた、馬鹿馬鹿しい“ポストイット課長”である。

 実態の詳細を社長に報告することにした。

「わかったけど、社長、どうするんですか?」

「どうするのじゃないよ、私はどうしたらいいのよ」

「ハラスメントの被害の事実があると認識した以上は、加害者の処分と被害者の救済を行わないといけませんよ」

「え、クビにするの?」

「いきなりそこまでとは言わないですけど、男女雇用機会均等法は、職場のセクハラ防止義務を単なる配慮義務ではなく、措置義務として捉えているから、具体的な行動をとることが求められます。例えば降格とか、減俸とか。被害者との間で謝罪や示談もさせないといけませんね。また不快な就労環境を与えてしまった会社側の責任もあるから、会社も謝罪の方法を考えないといけません」

「えらいことになったな」

 社長を悩ませている部下によるセクシャルハラスメントは、簡単に言えば「性的な嫌がらせ」のことであるが、明確な定義は男女雇用機会均等法に詳しく書かれてある。

 それによれば、セクハラとは「職場において行われる性的な言動に対する、その雇用する労働者の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、または当該性的な言動により、当該労働者の就業勧業が害されること」とされている。

 今回の件は、性的な関係を強要し、断ると仕事から干されたということから、性的な言動により、労働者の労働条件に不利益を与えていることが明らかだ。立派にセクハラであり、むしろ、わかりやすい事例だ。

 結局このセクハラ課長は、減俸処分と異動が言い渡された。被害を受けた女性とは示談が成立し、一応、セクハラ事件は解決した。