気をつけたい
環境型セクハラ

 今回のケースは、いわば「対価型」だ。労働条件の利益・不利益と簡単に結びついているので、立証もしやすいし、限界も誰でもある程度常識的に判断できる。分かりやすいからこそ、うっかりセクハラのラインを踏み越えてしまった、という悲劇は起こりにくい。

 問題は、分かりにくいセクハラである。

 たとえば、パソコンのスクリーンセーバーを女性のヌードにしている場合だ。これは「女性を不快にさせるものを職場の見えるところに置く」ことで、職場の環境を悪化させているセクハラになる。これは「環境型セクハラ」というものだ。これらは悪気が無くてもついうっかりという事態が起こるため、気をつける必要がある。

 また、ものの言い方にも気をつける必要がある。

 例えば、女性社員に対して「きれいな色のシャツで、いいね」と誉めるのはかまわない。だが、こう言ったら、女性はどう思うか。

「そのシャツ、胸の開き方がいいね」

 これは、レッドカードだろう。同様に、「そのワンピース、スマートでかっこいいね」は良いが、下記もマズい。

「そのワンピース、ボディラインが出て、いいね」

 また、女性に対して「何だ寝不足か、夕べ夜更かししたんだろ」はいいが、下記は誰が何と言おうとレッドカードだ。

「何だ寝不足か、夕べ彼氏とがんばったんだろ」

 後者は性的な行為を連想させる言葉を言っており、かなり直接的に不快感を与えることになる。

対策はただひとつ
「人の嫌がることをしない」

 こうした説明をすると、必ず次のような質問をもらう。

「どうやって区別するのか」

 今回の案件でも、同じ質問を社長からもらった。こうした質問には、筆者はたいていの場合は「社長は大丈夫です。いい男だから」と答えるようにしている。

 決してふざけている訳ではない。本当のことだ。たとえば「君はストッキングなんか穿かない素足の方がきれいだし、雰囲気に合っているね」という発言があったとする。この同じ台詞を、韓流スターのような、職場のあこがれのプリンスから言われたら、彼女は、どんなに寒くてもこの先二度とストッキングを穿かないだろう。