世界が変わる GAFA解体指令#2

米フェイスブックはGAFA(米グーグル、米アップル、フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)の中でも、ひときわ厳しい批判にさらされている。さまざまな理由があるが、要因の一つは、ビジネス市場での振る舞いにもある。特集『世界が変わる GAFA解体指令』(全11回)の#2では、フェイスブックの猛烈過ぎる戦略を詳らかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

「インスタグラムを切り離せ」
米FTCが迫るフェイスブック帝国解体

 マーク・ザッカーバーグ氏らが2004年に創設した米フェイスブックはもともと、米ハーバード大学の学生交流サイトだった。それが今では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の世界最大手である。月間アクティブユーザーは27億人に上る。世界の3人に1人が利用している計算だ。

 フェイスブックの時価総額は7852億ドル(約80.88兆円、12月16日の終値ベース)。上場から8年足らずで9.6倍に成長している。上場時からの投資家は、さぞかしもうけたことだろう。

 株式市場で大人気のフェイスブックに対し、各国政府が向ける視線は一貫して冷ややかだ。最大の醜聞は18年3月に発覚した個人データ流出事件。フェイスブックからの流出データを基に、英データ会社のケンブリッジ・アナリティカが米国大統領選挙などで政治広告を展開していたことから、世界を揺るがす大問題となった。また日常的に、フェイクニュースや人種差別的な投稿がフェイスブックに横行することも、度々社会問題化している。

 そして12月9日、フェイスブックは創業以来最大の訴訟リスクを抱えることになる。米連邦取引委員会(FTC)と米国のほぼ全ての州が、反トラスト法(独占禁止法)に違反したとして、フェイスブックを提訴したのだ。

 FTCなどはこの提訴で、巨大フェイスブック帝国を分割、解体しようとしている。フェイスブックが健全な市場競争を阻む事業戦略を講じてきたとして、買収した画像共有アプリ「インスタグラム」とメッセージアプリ「ワッツアップ」の運営会社切り離しを求めているのだ。

 両社の買収は、他ならぬFTCが過去に承認したものだ。それを後になって打ち消すとは、一体フェイスブックが何をしたというのだろうか?

 フェイスブックの振る舞いは、今年10月に公開されたある報告書に、驚くほどつぶさに描写されている。米議会下院司法委員会の反トラスト法小委員会がまとめた報告書「Investigation of competition in digital markets」は、同委員会が16カ月にわたり、GAFA(米グーグル、米アップル、フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)4社を徹底して調査した成果だ。この報告書を基に、フェイスブックのSNS市場での振る舞いを見てみよう。