「原発停止で赤字」と、ひとくくりにされがちな電力会社だが、内容には少なからぬ違いがある。中部電力は低い原発比率が今や長所となり、火力発電でも他の電力会社にはない強みがある。

 9月13日、中部電力は普通社債200億円の発行を発表した。

 2010年10月以来、約2年ぶりの社債発行となる。前期に921億円の純損失を計上した電力会社だけに、投資家に敬遠される恐れもあったが、あっさり即日完売した。

 人気の要因となったのは、中部電力の発電容量に占める原子力発電比率の低さだ。福島第1原子力発電所の事故以降、市場が「原発リスク」に敏感となる中、中部電力は15%(10年度)しか原発に依存していない。これが、信用の確保につながった。実際、同社の5年債の表面利率は0.566%で、国債金利への上乗せ幅(スプレッド)は0.35%と、関西電力の0.63%や、九州電力の0.46%と比べても低く、震災後に社債発行を再開した電力7社で最低の水準となった。

 原発比率の低さは業績にも好影響を与えている。今年4~9月期の連結決算見通しでは、純損益で赤字を見込むものの、原発停止の影響をまともに食らった他社と比べると、ダメージを小さいレベルに食い止めている(図1)。13年3月期の業績予想でもこの構図は変わらない。