しまむら 公式オンラインストア2020年10月に開設した『しまむら 公式オンラインストア」(しまむらHPより)

コロナ禍でも売り上げ好調のしまむらが、2020年10月に自社運営のECサイトを開設した。近年EC化が進むアパレル業界においてかなり後発だが、従来の倉庫に隣接してEC対応拠点を増設するなど、物流体制を整えてから、満を持してのスタートとなった。しまむらといえば、商品の安さと品ぞろえの豊富さが大きな魅力だ。その一方でEC化にあたっては壁にもなるローコスト、多品種の問題をどのように解決しながらECサイト開設に至ったのか。(編集・ライター ムコハタワカコ)

ZOZO出店や店頭受け取りアプリを経て
ECサイトをついに開設

 経済産業省が実施した令和元年度「電子商取引に関する市場調査」によれば、日本国内の消費者向けEC市場規模は19.4兆円と前年比7.65%増に拡大。EC化率も6.76%と前年比0.54ポイント増加した。店頭で商品を見てから買いたいというニーズが比較的高いアパレルの分野でも、2019年の市場規模は1兆9100億円と昨年比7.74%の伸びとなり、EC化率も13.87%にまで増加している。コロナ禍にある20年においては、ますますEC化率が高まっているはずだ。

 そんな中、衣料品チェーンを展開するしまむらが20年10月1日、自社運営のECサイト「しまむらオンラインストア」を開設した。アパレルECとしては、ベルーナやニッセンなどのカタログ通販発ECや、以前から自社ECに力を入れるユニクロなどを追う形でのスタートだが、20年2月、同社物流拠点の埼玉県・東松山商品センターにECセンターを増設するなど、準備を整え、“満を持して”のオープンとなった。

 しまむら取締役執行役員の齋藤剛樹氏によれば、ECサイトはコロナ禍での店舗売り上げに代わる収益を見込んで始めたものではないという。「以前からECサイトの開設は意識はしていたが店舗拡大を先行してきて、そろそろ(ECサイトを)立ち上げようという時にコロナ禍に見舞われ」(齋藤取締役)、たまたまこのタイミングでのスタートになったようだ。

 しまむらは、アパレルECモールのZOZOTOWNに出店していたこともある。2018年7月から2019年6月までの出店は、同社にとって実店舗以外で商品を展開する初めての経験だった。

「売れる商品の特徴が店頭とは全く違う。実店舗ではだいたい30代から50代の顧客向けの商品がよく売れるが、出店当時のZOZOTOWNでは20代中心の若い顧客が多く、当社のブランドでいえば『アベイル』寄りの商品が売れていた」(齋藤取締役)