総予測#32Photo by Kazutoshi Sumitomo

オフィスビル、ホテルなど幅広く不動産事業を手掛ける森トラスト。ビジネスワーカーがオフィスに求めるもの、宿泊客がホテルに求めるものが大きく変わる中、伊達美和子社長は「これから不動産は『選ばれる時代』になる」と話す。特集『総予測2021』(全79回)の#32では、その言葉の真意に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

当初は営業利益20%減を予想も
「減益幅は約10%減に抑えられる」

――2021年3月期業績予想は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、前期比で減収減益です。具体的な要因は。

 前期は売上高2336億円、営業利益587億円。今期は20年6月時点で売上高は前期比約5.8%減の2200億円、営業利益は同20%減の470億円の予想でした。ただ11月時点で、オフィス賃貸事業や不動産販売事業の回復スピードが当初予想よりも速いですね。ホテル事業は当初の予想ほど悪くないですが、前期より業績が悪化するのは確実です。

 とはいえ、20年は「ヒルトン沖縄瀬底リゾート」「JWマリオット・ホテル奈良」「東京エディション虎ノ門」の開業費用が単年度で計上される関係で利益が下がるという要因もあります。

 一方で、ホテルには新しい需要が生まれました。例えば、リゾートホテルで働きながら休暇を取る「ワーケーション」の予約率の伸びが高まったこともあり、当初予想よりも回復は早そうです。

 そのため当初予想とは違い、21年3月期の売上高は前期比で微増し、営業利益は前期比10%減くらいまでに抑えられる見込みです。

――新型コロナによって投資計画を止めた案件はありますか。