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「新型コロナウイルス」感染拡大に翻弄された2020年。経営の現場にもコロナ禍が直撃した。信用情報誌「TSR情報」は、現場取材やアンケート、関係先へのヒアリングなどに基づき、事細かに日々報じてきた。コロナ禍は企業活動にどう影響を及ぼしたのか――。信用情報誌「TSR情報」(全国版・日刊)のトップニュースで2020年を振り返る。(東京商工リサーチ情報部 原田三寛)

2019年の企業倒産が
11年ぶりに増加

 2020年の年明け早々、TSR情報は異例の誌面が展開された。

 1月8日号では、国内110銀行の2020年3月期中間決算で、「リスク管理債権」が6兆5403億円(前年同期比5.1%増)に達し、中間期では2012年9月中間期以来、7年ぶりに前年同期を上回ったことを伝えた。伸び率でリスク管理債権が貸倒引当金を2.8ポイント上回ったことに注目し、「将来の貸倒引当金積み増しにつながる可能性がある」と記事中で指摘した。

 1週間後の1月15日号では、2019年(1―12月)の企業倒産が、11年ぶりに増加したことを報じた。リーマンショック時に施行された中小企業金融円滑化法や金融機関の手厚い資金繰り支援で企業倒産は抑制され続け、もはや“当たり前”と受け止められていた。それが増加に転じ、与信関係者だけでなく、テレビや新聞などマスコミでも広く報じられ、衝撃を与えた。

 2019年10月の消費増税や暖冬、人手不足、長引く消費不振など外部環境に鑑みても、2020年も企業倒産は増加すると予想していた。ただ、新型コロナがこの予想を大きく覆していく。