ロジハラ正論を振りかざして部下を追い込んでしまっていませんか? Photo:PIXTA

昨今、ニュースなどで耳にする機会も増えている「ロジハラ」。ロジカル・ハラスメントの略称で、上司が正論を振りかざして部下を追い込んでしまうことを指します。良かれと思って正しいことを言ったのに、知らないうちに部下を追い込んでいた…。そんな悲劇を避けるために、上司は「正論の使い方」に留意する必要があります。そこで今回は、ビジネススクールを運営するグロービスで講師を務め、これまで多数の若手人材を育ててきた朱子青氏が「嫌われない正論の使い方」を紹介します。

正論に罪はない
ロジハラの本質は「価値観の押し付け」

「それ、○○さんだからできるんじゃないですか?」
「私は○○さんじゃないんです」

 仕事のノウハウを懇切丁寧に教えているはずの部下に、直接こう伝えられたり、陰で言われていたりしたこと、ありませんか?

 私はかつて、大切に育てていたつもりだった部下に「私は朱さんのようにはできないんです」と言われたことがあります。良かれと思って仕事を教えているつもりでも、本人にとっては合わないやり方を押しつけられているように感じ、気づかないうちに追い詰めていたのです。

 昨年、テレビやワイドショーなどで一時話題となった「ロジハラ」。会社の上司やパートナーが正論を振りかざし、相手を知らないうちに追い詰めてしまう行為のことを指します。私が部下に指摘された「合わないやり方の押しつけ」も、人によってはロジハラと受け取ることがあるようです。

 読者のなかには「正しいやり方を教えて何が悪いのか」と思う人もいるでしょう。私も、その意見には完全に同意します。正しいことを言って傷つく人はあまりいませんし、上司からのフィードバックが正しければ、多くの部下はしっかりと飲み込んでくれるでしょう。

 では、なぜ「ロジハラ」が生まれてしまうのか。私は、正論を言うことが悪いのではなく、部下の価値観や不安などを無視し、正論を「押しつけてしまうこと」に問題があると思っています。つまりロジハラは、『自分のやり方が正しい』と暗に押し付けてしまう「共感ハラスメント」なのです。