「リモートワーク手当」を支給する会社が、一生GAFAにはなれない理由Photo:PIXTA

2020年、リモートワーク導入にあたって、会社から「リモートワーク手当」をもらった方も多いのではないでしょうか。月2万円、月5万円、一律10万円…。手当でPCやディスプレー、カメラやマイクなどを買われた方もいるでしょう。しかし、総務部のみなさんに伝えたいことがあります。「リモートワーク手当」を支給するのは正直、得策ではありません。(KADOKAWA Connected代表取締役社長 各務茂雄)

「○○手当」ではなく「研究費」にしなさい

 私は企業のDX化の専門家として、Amazonを経て現在KADOKAWAグループ全体の生産性を上げる仕事に携わっています。現在は企業の生産性を向上させる専門家として、日本企業をGAFAのように自律的な組織を生み出す組織に変身させるべく日々試行錯誤しています。

 そこで私から言えることは「リモートワーク手当」という名称が組織の生産性を上げるという意味では不正解だということです。なぜでしょうか。

 まず、「○○手当」とつけると、どのようなイメージを浮かべるでしょう。家族手当、出張手当、営業手当…。試しに、“手当”を辞書で引くと「仕事の報酬として支払われる金銭」と説明されています。

 つまり、社員一人ひとりの目線で言えば、自宅で仕事をすることへの“対価”としてもらうお金が“手当”です。手当は給与の一部なのです。もちろん、この解釈は正解です。慣れない自宅で仕事をする環境を整えるために負担しているのですから。

 たとえば、月5万円のリモートワーク手当が出る企業があったとします。しかし、「手当」と名付けられた時点で、その5万円はチームや会社に何らかのフィードバックを生みづらくなってしまっているのです。椅子なりディスプレーなりを買ったらそれで終わりという「閉じられた5万円」といえます。

 しかし、この5万円を「リモートワーク手当」ではなく「リモートワーク研究費」と名付けてみるとどうでしょう。研究と聞くと、論文を連想する人も多いのではないでしょうか。論文とは、すなわち研究結果のアウトプットのことです。