銀座4丁目コロナ禍の影響は、東京・銀座の不動産市場にもじわじわと影響を及ぼしており、バブル崩壊やリーマンショックを超えるとの懸念もある Photo by Satoru Okada

新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、不動産にも広がりそうだ。東京・銀座ももちろん無縁ではなく、賃料の下落が始まっている。空室も出始め「バブル崩壊やリーマンショックをも超える」との観測さえ漂っている。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

銀座8丁目で空室が続く“幽霊ビル”
三陽商会ビルに再度売却の見方も

 東京・銀座8丁目の銀座通り。最寄り駅でいうとむしろ新橋に近いが、目抜き通りに面した一等地であることに変わりはない。新型コロナウイルスの感染拡大で、1月16日から休日の歩行者天国が中止された。

三陽銀座タワー三陽銀座タワー Photo by S.O.

 コロナ感染拡大の前から経営難が続いていたアパレル大手・三陽商会が所有し、旗艦店「ギンザ・タイムレス・エイト」として営業していた建物は、昨年9月に約120億円で売却された。だが、今なお後継テナントが入らないままたたずんでいる。まるで“幽霊ビル”だ。

 地下1階から地上9階建てと縦に細長いビルで、2019年9月にリニューアル。三陽商会の各ブランドがフロアごとに営業していたが、リニューアルから約1年で閉鎖・売却の憂き目となった。売却先は公開されていないが、不動産業界の関係者によると、ジャスダック上場の不動産会社・レーサムだとされる。

 ただしこのビルは、三陽商会がアパレル店舗としての使用を前提に自社ビルとして建設したため、どのフロアも売り場と洋服の在庫を収納するバックヤードでできている。そのため汎用性が低く、他の業種で使いにくいことも新たなテナント候補が敬遠する要因との指摘があり、むしろレーサムがビル自体の売却に動いているとの見方がある。