ムヒディン大統領ムヒディン首相 Photo:123RF

マレーシアでも年明け以降新型コロナウイルスの感染は急拡大している。緊急事態宣言が発令され、UMNO(統一マレー国民組織)とムヒディン政権との政争は一時停戦となった。時間を稼げる間に、感染を収束させ経済の立て直しを図れるのか。ムヒディン政権は正念場に立っている。(第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)

輸出依存度が非常に高く、内外需落ち込み
昨年は深刻な景気減速に

 昨年春、マレーシアにおいても新型コロナウイルスの感染拡大の動きが広がり、ムヒディン政権は外出禁止をはじめとする強力な感染封じ込め策に動いた。

 マレーシアはアジア新興国のなかでも輸出依存度が極めて高い経済構造を持つ国のひとつだ。コロナ禍で世界貿易の萎縮に伴う外需の低迷に加え、内需にも大きく下押し圧力がかかるなど深刻な景気減速に見舞われた。

 しかし、その後は強力な感染対策が奏功する形で新規感染者数は頭打ちしたため、行動制限が解除されたほか、ムヒディン政権は巨額の財政出動などを通じて景気を下支えした。さらに、世界経済の回復期待に伴い外需が底入れしたことも相まって、その後の同国景気は大きく好転してきた。