資産1億円の作り方#17イラストレーション:(c)はうこ, Photo:PIXTA

コロナ禍も相まって不動産投資への融資が厳しくなる一方、「サラリーマン大家」を夢見る人は後を絶たない。だが、そこには危ういわなも数知れずあることを知っておくべきだ。特集『資産1億円の作り方』(全19回)の#17では、Twitterのフォロワー数が5万人を超える辛口の不動産投資家、どエンド君にダメ物件の見抜き方を伝授してもらった。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

不動産投資セミナーの物件は
買った時点で2~3割の大損

――不動産投資で初心者が気を付けるべきことは何でしょうか?

 株式投資との比較で言えば、株は自分が欲しいときに、その時点の値段で買えますよね。しかも、誰が買っても同じ値段です。

 一方、不動産には定価がありませんし、原則として一点物です。初心者はここを勘違いして、自分が買った値段がその物件の価値、つまり定価だと思い込んでしまうわなにはまりがちです。

 例えば、不動産投資を始めようとしてインターネットで「不動産投資」などと検索し、不動産投資セミナーに参加しますよね。そこで「不動産投資はこんなにもうかる」「自分年金を用意しましょう」「AIが計算した賃料は幾らです」というセールストークと作り込まれた資料をうのみにして、多くの人が不動産投資とはこういうものかと勧められるままに物件を購入しています。

 ですが、この物件は、セミナーを開いた業者が売り主であることがほとんどです。

 売り主である業者の粗利益をIRで見れば明らかですが、自分たちが仕入れた物件に15%ほど利益を上乗せして販売しています。そんな物件を買った時点で、購入額の2割を初めから捨てて勝負するに等しいことになります。

 そして、自宅の住宅ローンを組もうとした際など、投資用不動産のローンが邪魔になって物件を売却しようとしたとき、購入した金額では売れずに2~3割の大幅値下げをしなければならない事態になって、ようやく信じていた価値がないことに気付くのです。

 そもそも、もうかる投資用不動産であれば、いくらでも買いたいという富裕層や地主、業者が大勢います。そうした“上流”の人たちが皆、「その値段では要らない」と言ってスルーし続けて、誰も買わない物件が先のセミナーなどで売られているのです。「向こうから来る物件は全てクソ」という格言があります。セミナーで一生懸命に売り込まれる物件を買ってはいけないのです。

 また、投資から目をそらすセールストークの一つに「生命保険代わりになります」というのがありますが、なにも数千万円の借金を背負わなくても、素直に生命保険に入ればいいですよね(笑)。

――そのほかにも初心者がはまりやすい落とし穴はありますか?