上海市に林立するマンション群。大都市の住宅価格は過去20年にわたり、右肩上がりで上昇してきた。今買わなければ、もっと高くなるという焦りが人々を購入に向かわせている上海市に林立するマンション群。大都市の住宅価格は過去20年にわたり、右肩上がりで上昇してきた。今買わなければ、もっと高くなるという焦りが人々を購入に向かわせている Photo:Bloomberg/gettyimages

世界各国がコロナ禍にもだえ苦しむ中、中国は主要国としては唯一、力強い経済回復を見せている。だがそんな中国経済にも「隠れた傷」があるという。不動産市場の「K字型回復」がそれだ。(ダイヤモンド編集部 高口康太)

 一枝独秀――早春にいち早く開いた一枝の梅花のように目立って優れた存在のことを、中国語ではこう表現する。この言葉で中国メディアが自国の成果を誇るのが、コロナ禍からの経済回復だ。

 世界銀行の発表によると、2020年の中国の国内総生産(GDP、実質)成長率は前年比推計値で2.0%を記録した。米国がマイナス3.6%、日本がマイナス5.3%、欧州に至ってはマイナス7.4%と軒並み水面下に沈む中、中国は世界の主要国で唯一のプラス成長を果たしている。

 GDP総額が100兆元(約1600兆円)突破と大台を記録したこともあり、「中国こそが世界経済回復のけん引役」という声が内外から上がるのも無理はない。

 だが中国経済がコロナ禍の傷みから完全に脱したとみるのは早計だ。「隠れた傷」が見え隠れするのが、不動産市場である。