研究チームは、WhiskyとVicky Ninaが新しいおもちゃの名前を耳にする状況として2パターンを用意した。飼い主との遊びの中(社会的コンテクスト)で聞く場合と、除外ベースの課題を行う中で聞く場合である。いずれの状況でも、犬が新しいおもちゃの名前を聞いたのは4回だけである。
研究チームはまず、2匹の犬に除外ベースの課題を行わせた。その結果、2匹とも、新しいおもちゃの名前を聞くと、それを正しく選ぶことができた。これは、2匹が既に名前を知っているものを除外することで、新しいおもちゃを選ぶことができたことを意味する。しかし、正確に選べたからといって、新しいおもちゃの名前を覚えたとはいえない。実際、その新しいおもちゃと、別の新しいおもちゃの2つを提示した上で、先ほどのおもちゃの名前を言っても、2匹はそれを正しく選ぶことはできなかった。
次に、社会的コンテクスト、つまり飼い主との遊びの中で新しいおもちゃの名前を聞かせた。その後、同じように2つの新しいおもちゃを提示したところ、飼い主との遊びの中で名前を聞いたおもちゃを正しく選ぶことができたという。
研究論文の上席著者である同大学のÁdám Miklósi氏は、「犬のこのような迅速な学習能力は、2〜3歳前後の人間の子どもが語彙を習得する仕方に似ているようだ」と述べている。
さらに、研究チームは、他の20匹の犬に対して同じ方法で実験を行った。しかし、新しいおもちゃの名前を覚えた犬はいなかったという。この結果についてFugazza氏らは、「これは、新しい言葉をすばやく学ぶ能力は、犬ではまれであることを示している」との解釈を示している。
しかし残念ながら、WhiskyとVicky Ninaの新しい言葉に対する記憶は、急速に薄れていくことも分かった。2匹とも、新しい言葉を習得してから10分後と1時間後に行われたフォローアップテストのほとんどで、言葉をもはや覚えていなかったという。(HealthDay News 2021年1月28日)
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