コロナ禍のEC拡大で凋落するリアル店舗、復活への「3つの処方箋」コロナ禍でのEC拡大により、リアル店舗に淘汰の波。リアル店舗の醍醐味を顧客に感じさせるためには、どんなポリシーが必要か(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ禍でEC市場が拡大
リアル店舗の淘汰が進む

 新型コロナウィルスの流行によって、店舗での買い物を控えたいとのニーズが高まり、EC市場が急伸している。みずほ銀行産業調査部推計によると、2020年のEC市場は前年比26.7%増の12.7兆円に達し、2025年までに17.7兆円に拡大すると予想される。

 EC市場の拡大により、リアル店舗は淘汰の波にさらされ、競争についていけない店舗の閉店が相次ぐだろう。特に注目すべき点は、感染症の拡大によって、リアル店舗で現物を確かめながら購買するのが主流であった化粧品や生鮮を含む食品でも、消費者のオンライン購買が進んでいることだ。これまでECの影響を受けにくいと考えられていた食品スーパーやコンビニのリアル店舗にも、影響が拡大していきそうだ。

膨大なデータを駆使した提案が
小売業の新たな武器に

 小売業は、クラウドに集積された膨大な履歴情報をもとに、顧客が嗜好性を持ち、場所、時間、機会に応じて必要とするモノを、高度に予測することができるようになる。

 ボストン発のTrue Fit社は、アパレル業界のためのパーソナライゼーション・プラットフォームを展開している。同社のプラットフォームは、各ブランドの服の寸法やデザインのデータと、1億人の登録顧客のサイズ、好み、購買履歴のデータを分析し、顧客のサイズ・好みに合った服を提案する。

 同プラットフォームからの提案により、顧客は何着も試着する負担や、通販で取り寄せた服が自分に合わなかったという失敗がなくなる。一方販売元は、返品コストを大幅に圧縮できるメリットがある。True Fit社の技術を活用する企業は、アメリカの大手小売のMacy’sや、Levi’s、Ralph Lauren、Nordstrom、Michael Korsなど1万7000を超える。