半導体争奪戦#5Photo by Masato Kato

世界の半導体メーカーの巨額投資を背景に、業績を拡大させている東京エレクトロン。河合利樹社長は2021年の半導体製造装置市場の成長率が前年比20%に迫って過去最大になると強気の見通しを示している。米半導体装置メーカー大手のアプライド・マテリアルズも今年の市場成長率が約20%になるとの見通しで追随し、今や半導体設備投資の盛り上がりは確実になってきた。特集『勃発!半導体争奪戦』の#5では、河合社長を直撃し、史上最大の半導体の設備投資ブームの内幕について聞いた。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

半導体製造装置市場
強気見通しには理由がある

――河合社長は「ビッグイヤーズが来る」として、2021年の半導体前工程製造装置の世界市場(WFE)が過去最大規模の20%増に迫ると強気の見通しを1月に発表しました。装置メーカーとしてこれだけ強気の見通しを出したのは早かったように思います。

 いまや半導体製造装置のグローバルメーカー(米アプライド・マテリアルズ)も(2月に入ってWFEの成長が20%増と発表しており)、私のコメントと一致してきているので間違いはないでしょうね。

 昨年頃から、ICT(情報通信技術)の市場でロジック半導体の需要は盛んですが、今はさらに旺盛です。一方で、メモリー半導体のDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)は、一時在庫が増えたのですが、その後は順調に在庫がなくなって足元ではDRAMの在庫が足りなくなってきています。今年はその分の設備投資が広がるでしょう。

 背景にあるのが、5G(第5世代移動通信システム)モバイルの普及。そして、パソコン(PC)の需要は昨年から強いし、ハイパースケーラー(GAFAM〈米グーグル、米アップル、米アマゾン・ドットコム、米フェイスブック、米マイクロソフト〉に代表される、巨大データセンターを運営するクラウド企業)も含めてデータセンターの投資が爆発しています。それが昨年から今年にかけて始まっていると思います。

――世界を動かす大手半導体メーカーが軒並み設備投資を増強していますが、強気の見通しに至る製造装置の需要の実感はあったのですか。

 われわれは巨額の投資を計画する巨大な半導体メーカーと直接話をしています。だから20%という数字は、顧客と実際に会話をして出したものです。われわれは事業者ですから、調査機関の予想とは違い、実際に投資する顧客の話を聞いて、確かな根拠に基づく数字を出しているのです。