化粧品を選ぶ女性中国で日本のブランド信仰が揺らいでいる真因は、おそらくマーケティングが劣っていることではない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

中国のSNSで見え始めた
日本ブランドの権威失墜

 先日、「中国SNS、消費変化映す 日本ブランドに陰り」(日本経済新聞1月27日)という興味深いニュースが報じられていた。

 11月の「独身の日」前後の1カ月間、中国の消費者の嗜好を反映しやすいとされるSNS「微博」(ウェイボ)でつぶやかれたブランド名を分析したところ、上位30位に日本からランクインしたのはユニクロ(9位)と資生堂(29位)のみ。しかも、両ブランドとも昨年と比べてランクを下げているのだ。

 代わりに台頭してきたのが、中国や韓国のブランドだ。たとえば、資生堂を抜いて12位、19位にランクインしたのは、昨年圏外だった韓国コスメブランド。新興勢力に押される形で、中国人の「日本ブランド信仰」が揺らいでいるように見えなくもない。

 では、反日感情が高まって日本ブランドの不買運動が起きたようなこともなかったのに、なぜ中国人消費者の心は「日本ブランド」から離れてしまったのか。

 記事中でSNS分析を行ったトレンドエクスプレスの浜野智成社長は、「中韓勢は戦略的にSNS上のつぶやきを促すマーケティング手法を強化している」と指摘する。

 この説明に納得をする人も多いだろう。われわれが考える「日本ブランド」の強みといえば、安くて高品質、使い勝手の良さなど「製品企画力」に紐づくものだ。今回はそのような点で負けたのではなく、「売り方」で負けたという説明は、日本人にとって受け入れやすい。

 実際、この記事を読んでも、「日本にやってきて爆買いするほど日本ブランドを愛しているんだから、長期的には日本ブランドの良さが見直されるだろう」くらいに思っている人も少なくないはずだ。

 ただ、それはあまりに楽観的すぎるかもしれない。「安くて品質がいい」「信頼の証だ」などと持ち上げられているうちに、いつの間にかその評価にあぐらをかいてしまっている恐れもあるのだ。

 日本企業の中国向けプロモーションやマーケティングを支援し、中国女性にフォーカスを当てた商品開発などにも携わる「LIANBABY」代表取締役の李佳霖さんは、報道された結果に「強い危機感を抱いている」という。