新興国投資 2012年10月19日

ラオス、小さな株式市場のビッグな可能性
中国による鉄道投資はGDPの9割に相当!経済は飛躍前夜?

やっぱり“鶏口牛後”! トップ国有企業をがっちりホールド

 どデカい変化が、ラオスで起きていることはご理解いただけたと思いますが、では具体的にどんな上場企業があるのでしょうか。簡単にラオスの上場企業を見てみましょう。同国の株式には外国人も投資できます。

■ラオス外商銀行(BCEL)

 1976年の設立。89年まではラオス中央銀行の傘下にあり、独占的に国際銀行業務をまかされていました。89年以降は国有商業銀行として活躍。現在国内に18の支店、36か所の営業拠点があります。ラオスでは最大手銀行です。

ラオス外商銀行(BCEL) (Photo:©WorldStock.JP)

 総資産は12兆8140億キープ(約1281億円、2011年末)、融資額は5兆8000億キープ(約580億円、2012年3月末)。融資は30%の市場占有率を誇りトップ。同行の収益は38%が融資によるもの、31%がATMを含む手数料、14%が両替、17%が貴金属取引と自己投資によるものです。

 株主構成は政府が70%、提携する仏銀行(Cofibred銀行)が10%、従業員が5%、一般投資家が15%を各々保有しています。

 ラオスは外国投資が中心となり、国内経済の底上げが続いており、国内の融資総額は毎年30-40%で増加すると予想されています。業界トップの同行の貸出金残高も同じペースで成長するとみられています。地元の証券会社BCEL-クルンタイ証券(同行とタイの証券会社の合弁会社)によると、2011年の純利益は前年比39%増の1520億キープ(約15億円)となりましたが、2012年には同24%、2013年には44%の増益を見込んでいます

 2012年の予想EPS(1株純利益)は約1367キープとされ、これをもとにすると、最近の株価(7400キープ、10月10日終値)は予想PERで5.41倍となります。同行は9月1日、今年の上半期配当として1株当たり436キープを支払いました。


■ラオス電力発電(EDL-Gen)

 国営発電企業のラオス電力公社が株式上場のために、発電部門を分社独立させて誕生しました。株式の75%は親会社のラオス電力公社が保有を続けており、経営的には国有企業であることに変わりありません。現在の株主構成は次の通りです。


ラオス電力公社          75.0%
Ratch-Lao Service        6.46%
RH International(Singapore)   2.88%
ラオス外商銀行          2.68%
一般投資家            12.8%

 10月現在、同社が100%出資する発電所は7か所、一定の持分を出資する発電所は4か所を保有しています。持分で計算すると、発電設備容量は881MWになります。今後も外資などの独立発電事業者から発電所を買収していく計画があり、それにつれて発電設備容量と売電収益は順調に伸びることが予想されます。

 2011年通期で8900億キープだった売上高は2012年通期では1兆840億キープ、2014年には1兆7000億キープへと急増する見通しです。これからも発電所を買収して成長を続けていきます。

 買収には資本調達が必要。とくに有償増資が有効とされますが、同社が今年7月に行った有償増資では既存株の29%に相当する株式を売り出しました。それにともない、1株利益も29%希釈化しました。このサイクルは、この先も続くでしょう。つまり同社は買収した発電所による収益増化が見込める一方、そのために増資したことによる利益や1株価値の希釈化が、同時に起きるジレンマのようなものをずっと抱えているのです。

 証券会社BCEL-クルンタイ証券は、EPS予想として12年は562.65キープ、13年と14年はやや高い722.89キープを見込んでいますが、前述の背景があるため、投資家としては同社を買う動機はEPS成長を見込むというより、配当を狙うことにあるでしょう。

 一方、今年上半期の配当は1株当たり178キープでした。地元証券は下期配当を同295キープ、通期配当としてはこれらの合計465キープが支払われると予想しています。最近の株価(4900キープ、10月10日終値)をもとに配当金利回り計算すると9.48%となります。業績および為替がこの先も安定すると思うなら、3年持てば28.4%の利回りを期待できるという計算も可能ですが、これは昨年の東日本大震災以前の日本では、こういう配当狙いの投資は、東電などの電力株に向けられていました。こんどはラオスで同じようなことが出来るかもしれません。

 今後ラオスの電力需要が伸びることは間違いありません。長期的にはいまの10倍の電力が必要とされるとも言われています。この成長分野での同社の活躍が期待されます。

 今後ラオスの電力需要が伸びることは間違いありません。長期的にはいまの10倍の電力が必要とされるとも言われています。この成長分野での同社の活躍が期待されます。

 ラオス株を売買するにはラオスの証券会社に口座を持つ必要がありますが、これには現地の証券会社を訪問して手続きを行うか、または郵送で口座開設書類などを送って口座開設を行うことが出来ます(ワールドストックJPで代行しています)。

 

(文 ワールドストックJP代表 松岡譲)

松岡 譲 (まつおか ゆずる)
埼玉大学卒業。商社や金融機関等を経て現在はワールドストックJP代表。新興国市場に進出する投資家のサポートを手掛ける。『カンボジア株式ニュース』(毎週)『ミャンマー株式ニュース』(毎月)を発行。


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