バブル相場の正体#10Photo:PIXTA

日経平均株価の2倍の値動き!ハイリターン狙いの個人投資家に人気なのが日経平均レバレッジ型ETFだ。売買代金ランキング上位の常連銘柄でもある。特集『バブル相場の正体』(全12回)の#10では、入門者が陥りがちなETF投資の落とし穴を解説する。2倍の変動率につられて飛び付くのは要注意だ。米国株のボラティリティなどに着目した先物型ETFにもまた弱点がある。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)

上昇相場で手っ取り早く儲かる?
2倍のレバレッジを掛けるETF

 今年2月半ば、1990年8月以来30年半ぶりに3万円の大台を回復した日経平均株価。その後は、米国の長期金利上昇が上値を抑えている。だが、30年ぶりの高値圏内にあるのは間違いない。

 こうした上昇相場で、存在感を高めているのが、通称「日経レバ」(正式名称:NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信)をはじめとしたレバレッジ型ETF(上場投資信託)だ。

 個別の銘柄を選定する労力が省ける上に、日経平均を上回る値上がり益を得られるチャンスがある。手っ取り早くハイリターンが狙えるとあって、個人投資家に大きな人気を誇る。売買代金が全市場を通じて、トップクラスにランキングされることも多い。

 レバレッジという言葉は、もともと「てこの作用」の意。投資の世界では預けた資金を担保に、その数倍の資金を借り入れて投資する手法を指す。

 本格的にレバレッジを利かせようとすれば、先物やオプションなどのデリバティブ取引、あるいは信用取引などといった方法がある。だが、これらに特有の委託証拠金や委託保証金などといった少しややこしい制度がある。

 こうした面倒がなく、お手軽にレバレッジを利かせられるわけである。

 ところが、日経レバをはじめとしたレバレッジ型ETFには、入門者がはまりがちな落とし穴がある。日経平均株価が上がると見込んでいたら、下がってしまったというもくろみ違いはままあるだろう。それとは違う商品の弱点だ。