「震災支援機構の中小企業再生」に学ぶ、有事の地域支援で大事な2つのことPhoto:PIXTA

二重ローン問題の軌跡から
「有事の要諦」を学ぶ

 古今東西、国家や組織の運営で共通するジレンマは、有事に直面したとき、何を優先し、どのように対処するのかによって、結果が大きく違ってしまうという問題である。

 東日本大震災からの復旧・復興の課題となった被災企業の「二重ローン問題」を解決するために設立されたのが、産業復興機構と東日本大震災事業者再生支援機構であった。

 新型コロナウイルスの影響で、業況が厳しい中小企業は過剰債務問題を抱えている。変異株の感染拡大も懸念され、支援の長期化は避けられない。今こそ、機構の軌跡からコロナ禍にも通じる「有事の要諦」を学ばねばならない。

 東日本大震災は、行方不明者・関連死含め2万2000人の犠牲者を出した。加えて津波・地震は、広範囲で工場、事務所、設備を破壊して、サプライチェーンを寸断した。

 日本政策投資銀行の推計では、岩手、宮城、福島、茨城の4県だけでも計16兆3000億円強の経済的被害(産業設備などの資本ストックの毀損)をもたらした。家屋倒壊、原発事故などによる被災者の移転で、商圏が様変わりした地域もある。