ミャンマー駐在員
人選のポイント

――駐在員としてミャンマーに行かれる方として、一番成功しやすいタイプはどういう人ですか。

榎本氏 ひとつの条件としては年配者です。ミャンマーには年配者を敬うような社会文化がありますから、管理の観点からより好ましいのかと思います。

――仮に若手が行く場合、どういう基準で選ぶといいですか。

榎本氏 若手の人の場合であれば、一生懸命仕事して態度で引っ張れる人です。日本人がその場に一人しかいない中、350名近くの人たちの目がいつもその人に集中しています。常に自分の後ろには全社員の目があるという意識を持って、現場を仕切れる人です。

松谷会長 これは別にミャンマーに限ったことではなく、どこの会社でもそうだが手を抜いたら如実に返ってきます。人間にはどうしてもやる気が落ちている時はあるが、それをちゃんと現地の従業員は見ています。

榎本氏 そうですね。ミャンマー語も分からない状況の中でマネジメントすることは、不安になることも当然あります。一方で、日本語が出来る人の肩の上に乗っかってやっていけば、何とか管理できるとは思います。でもそこで、担がれたままでいいのかという意識を持てるかが大事です。自分でもっと深く現場の状況を知りたい、知らなければいけないという意識を持てるか、またその思いで、自分から積極的に彼らのなかに入り込めるかがポイントだと思います。

――そういった時に語学力はどれだけハードルになりますか。

榎本氏 マニーのヤンゴン工場の場合は日本語でやっているところもあるので、その部分で大きな支障になることはないですね。特に、上位職の人はそれなりに日本語が話せる人が多いです。ですが細かなコミュニケーションは通訳の人に頼んで来てもらって、こういう考えだと表明して分かってもらうようなこともやっています。

――ミャンマーの人々のなかに入っていく際のポイントや、距離感を近づけるための仕掛けは何かありますか。

榎本氏 目線をどれだけ近づけるかだと思います。彼らの考え方が、どうしてそうなるのか、彼らの目線でどこまで考えられるかですね。ただ一方で、仮に我々がしっかりサポートしていても簡単に従業員が辞めてしまうこともあるので、根気よく続ける必要はあります。目をかけていた社員からあっさり辞めると言われるときは、さすがに堪えます。従って、辞められた後に結局どこまで効果があったのかなって思い知らされることは、よくあります。

――逆に言うと、ある意味期待していた社員に辞められることに対して、精神的な耐性を試されるということですね。

榎本氏 もういい加減、その覚悟はできていますね。「辞める」、「分かった」っていうくらい、ドライにやらないと、続かない部分もあるんじゃないかと思います。

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