前回は、医療用精密器具のトップメーカーのマニー株式会社の、ミャンマーでの最近の急激な賃上げ圧力への対応等、工場現場のオペレーションについてご紹介した。今回は、マニーへのインタビューのまとめとして、ミャンマー駐在と今後の展望に焦点を当てたい。今回も、松谷貫司会長、そしてそれを実務面からサポートしてきた高井壽秀副社長、榎本勲MANI YANGON LTD社長にお話を伺った。

海外駐在初の奥様が
ミャンマーに夢中

 350人の従業員を擁するマニーのミャンマー工場に、日本人の駐在員は榎本勲MANI YANGON LTD社長1名しかいない。榎本氏は現在、奥様と一緒にミャンマーに駐在している。今後増えるであろうミャンマー駐在において、どのように円満に家族での駐在生活をエンジョイするか、またその前段階として、駐在に向けてどのように家族にミャンマーを説明するか、頭を悩ますビジネスマンも増えてくると思われる。果たして、榎本氏の場合、最初からすんなりとミャンマー駐在は受け入れられたのか。また実際に暮らしていての問題点は何があるのだろうか。

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ミャンマー駐在が決まったら、家族を連れて行くか?<br />マニーの事例で考える現地の生活、治安、医療事情(5)ヤンゴンには、他の東南アジアの都市部と、それほど大きく変わらない店も出てきた Photo:Japan Asia  Strategic Advisory

――榎本さんは今まで各地での海外駐在のご経験を奥様と共にされて、今回も一緒にミャンマーに来られたのですか。

榎本氏 いや、それはないですね。私は海外のあちこちに行っていますが、妻は海外駐在自体が全く初めてで、当然ミャンマーも初めてですね。

――今までの海外駐在では、お一人で行かれていたのに、なぜ今回のミャンマー駐在では、ご一緒にと思われたのですか。

榎本氏 私は別にひとりでもいいと思っていましたが、日本に妻を一人で残すよりも、一緒に行ったほうがいいという考え方が強かったと思います。また、ミャンマーであれば生活には順応することができるだろうから、来ても全然問題無いなという判断もありました。