株式レポート
10月17日 18時0分
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ドル円にもようやく変化の兆し?〜米長期金利と連動すれば..〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

昨日(10月16日)、米国株市場は大幅続伸となった。昨日は10月分の住宅業界(ホームビルダー)の景況感を表す住宅市場指数の改善が好感された(グラフ参照)。足元10月の米国経済の動向を表す指標として、ミシガン大学消費者信頼感指数、NY連銀製造業景況指数、住宅市場指数、3ついずれも9月対比で改善した。これらは米国の経済活動の一側面だが、昨日レポートで紹介したとおり、秋口から米経済の復調が続いていることを示している。


今週月曜日に米国株が反発した時は、あまり動かなかった米10年金利も、昨日は、株高につれる格好で1.72%まで上昇した。ただ、米国債金利は、QE3が導入された直後に1.87%まで大きく上昇したが、依然それをかなり下回る水準にある(グラフ参照)。FRBの金融緩和が更に強まるとの思惑が底流にあるが、債券市場の投資家が、「財政の崖」などの懸念から、世界経済の減速が長期化する疑念を抱いていることも影響しているだろう。


ただ、中央銀行による金融緩和が強化されても、その効果で景気回復とインフレ率上昇が起きれば、長期金利に上昇圧力がかかる。昨日まで米国の経済指標の改善が相次ぐ中で、世界的な景気減速が長期化するシナリオを想定している債券市場の投資家の思惑も、揺らぎ始めた可能性がある。

このように株式市場と比べると、米国の債券市場は、世界経済の先行きに対しては依然慎重である。ただ、米国10年金利は、欧州債務問題を巡る混乱の先行きが見えなかった7月末(10年金利1.39%)がボトムだった。この時ECBが国債の無制限購入に踏み出し始め、この後安全資産である米国債に対する需要は薄れた。

つまり、米債券市場は、株式市場が描くシナリオになお疑念を持っているが、それでも欧州債務問題に起因する最悪シナリオへの懸念は後退したと認識している。だから、FRBによる金融緩和が強化されても、7月末と比べると米国長期金利は高い水準にある。

そして、米国10年金利が大底を打ったため、一時かなり縮小した米日長期金利差も、5月半ばと同じ約1%まで再び拡大している。一方、4月以降の米日長期金利差縮小につれて、為替市場ではドル安円高が進んだ。ただ米日金利差が再び拡大する一方で、ドル円は依然として70円台の円高水準が続いている(グラフ参照)。


2009年半ば以降、日本が円高に苦しむ根本は、自国でデフレから脱却の道筋をつけることができないことで(10月12日レポート)これが足元の円高をある程度説明できる。もう一つ、短期的な要因として挙げられるのが、景気見通しに慎重な米債券市場が7月末に天井をつけた(長期金利水準がボトム)が、これがドル円市場の価格形成に影響していないことである。

先週、日本の大手通信会社による海外企業の大型買収の報道をうけて、このディールに伴うドル買い需要の思惑で、ドル円はやや円安となっている。ただ、需給を巡る思惑でドル円が円安方向で動いたのは、これまで影響しなかった株式・債券市場の動きが、ようやくドル円市場にも反映され始めた兆候かもしれない。

なお、欧米の後追いではあるが日銀の金融緩和強化が、今回の大手通信会社による非常にアグレッシブな海外企業買収を後押しした可能性もある。つまり、日本でも金融緩和が強化されるとの思惑が、経済活動に及ぼすプラスの効果が現れているということである。この点については、別の機会に説明したい。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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