過食症の有病率は、ベースライン時の0.7%から1年間の追跡で1.1%に上昇していた。性別、人種/民族、世帯収入、親の教育歴、BMI、およびベースライン時の過食症の有無などの因子で調整後、1日当たりの合計スクリーンタイムが1時間多いごとに、過食症のリスクが11%高くなることが分かった〔調整オッズ比(aOR)1.11、95%信頼区間1.05~1.18〕。
利用メディア別に見ると、ソーシャルネットワーク(aOR1.62、同1.18~2.22)、テキストメッセージ(aOR1.40、同1.08~1.82)、テレビや動画のストリーミング(aOR1.39、同1.14~1.69)が、過食症リスクと有意に関連していた。
このような関連の背景についてNagata氏は、「子どもたちは、スクリーンを見つめたり画面を操作したりしながら、食べ物を口に運び過ぎているのかもしれない。あるいは、テレビなどのメディアに登場する食品の広告の影響を受けているのかもしれない」と推測している。
もっとも、今回の研究は、テレビの視聴やソーシャルメディアの利用が過食症を引き起こすという因果関係を示したものではない。しかしNagata氏は、「テレビなどに熱中し過ぎるあまり気分のコントロールができなくなって、その結果、過食行動につながる可能性がある」と、カリフォルニア大学発行のニュースリリースの中で述べている。
過食症の人は摂食行動をコントロールできなくて、短時間で大量の食べ物を口にしてしまう。そして、食べた後に罪悪感を抱くことが多い。過食症は米国で最も多い摂食障害であり、糖尿病や心臓病のリスクにもつながり、時には生命を脅かすことがある。
論文の上席著者であるトロント大学(カナダ)のKyle Ganson氏は、「ソーシャルメディア上に自分の容姿を露出したり、達成が不可能なほどの理想的な体型を求めることが、否定的なボディーイメージにつながってしまい、その後、過食症を発症することがある」と解説。今回の研究結果に関して、「スクリーンタイムが若者たちの幸せにどのように影響するのかについて、さらなる研究が必要であることを物語っている」と述べている。
またNagata氏は、新型コロナ感染症のパンデミックという現状に照らし合わせ、「教育や社会生活におけるスクリーンタイムが増える傾向にあるが、長すぎるスクリーンタイムが過食症のリスクとならないように努める必要があるだろう。メディアの視聴やスマホの使用について、親と子どもが定期的に話し合い、計画的に使うことが望ましい」としている。(HealthDay News 2021年3月3日)
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