セブン-イレブンPhoto:Diamond

セブンーイレブン・ジャパンが加盟店の見切り販売について、従業員に強いてきた複雑な作業の簡略化を検討していることが分かった。だが、廃棄費用の大半を加盟店が負担する「コンビニ会計」の構造的な問題は手つかずだ。このままで見切り販売が本格的に普及するだろうか。(食品ロス問題専門家 井出留美)

コンビニ本部への批判から2年が経過
それでも広がらない「見切り販売」

 セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)は果たして、見切り販売(賞味期限直前の食品の値下げ販売)を大々的に認めるのだろうか――?

 SEJをはじめとする日本のコンビニエンスストア大手本部が、24時間営業の事実上の義務化など、加盟店に過剰な負担を強いていると批判されたのは、2019年のことだ。

 加盟店は、本部とフランチャイズ契約を結んで店舗を経営する独立した事業者とみなされるが、粗利の過半をロイヤルティーとして本部に納める。人手不足や過剰出店に悩む加盟店の利益が減少しているうえ、営業時間に限らず仕入れや価格面でも制約が大きいことが批判を浴びた。

 とりわけ販売価格については、食品スーパーでは一般的な見切り販売をしているコンビニを見かけることは、ほとんどない。

 SEJは過去、加盟店に対して見切り販売を制限し、禁止してきた。公正取引委員会は、これが優越的地位の乱用に当たるとして09年、SEJに対し排除措置命令を出した。その後SEJは、加盟店に対して見切り販売を一切制限していないと主張するようになった。

 それでも、見切り販売はほとんど広がらなかった。

 まさにコンビニ本部への批判が高まっていた19年に、筆者がある地方で講演した後、セブン-イレブンの加盟店オーナーが「食品ロスを減らしたくて聴きに来た」と声をかけてきた。そこで「だったら見切り販売をすればいいのではないですか」と筆者が話したところ、「そんなことをしたら契約解除されるんだよ!」と大声で怒鳴り返されたことがあった。