効果的な1on1を実践する大前提は「何故やるか」をしっかり理解することPhoto:Adobe Stock

著者の由井俊哉氏は、外部コンサルタントの立場で、ヤフーの1on1の現場への落とし込みを担当し、6万部突破のロングセラー『ヤフーの1on1』(本間浩輔著)、『1on1ミーティング』(本間浩輔、吉澤幸太著、ともにダイヤモンド社)の発行にも携わった。現在は、1on1導入の経験が最も豊富なコンサルタントとして、数多くの企業でマネジャー層を対象とした指導を行っている。本連載ではその経験を踏まえて、これまで言及してこなかった“1on1の導入法” “1on1の実践法”という具体論を展開する。

職場コミュニケーションの
希薄化を補う方法としての1on1

 1on1ミーティングは、今やすっかり職場コミュニケーションを改善するための一手法として、産業界に広がったように思います。

 私は人材マネジメントのコンサルティングや、研修講師を生業としていますが、現状、お引き受けする研修のほとんどが1on1の導入・定着をテーマにするものになりました。

 これほどまでに1on1が関心を集めている背景には、いくつもの要因がありそうです。

(1)今までのマネジメント方法の限界
(2)「働き方改革」による労働時間の上限設定
(3)新型コロナ禍によるリモートワークの普及

(1)~(3)は、時系列の変化です。

 直近の状況が(3)であり、リモートワークの広がりによって、職場のコミュニケーションがさらに希薄化しています。ですから、それを補うための方法として1on1に注目が集まるのは当然のように思われます。

 しかし、コロナ以前に、職場の課題は顕在化していました。それが上記(1)と(2)です。(2)時短によって、コミュニケーションは難易度を増していました。また、(1)は例えば年上の部下を持つようになった、というような新たな状況への対応です。それに(3)が加わって、私たちは組織のありよう、コミュニケーションの手法を、根本から見直さざるを得なくなった、といえます。

 1on1は、そのように積み重なった課題を、快刀乱麻を断つが如くに解決に導くわけではないでしょう。しかし、事態を改善するためにはかなり良い方法である、と思われているでしょうし、実際その通りではないかと考えられます。