できる上司は会話が9割Photo:PIXTA

人事異動の季節。これまでまったく経験のない畑違いの部署を任せられ、不安を感じている管理職も少なくないのではないだろうか。新著『できる上司は会話が9割』を出版したリーダー育成家の林健太郎氏が、マネジャーの不安を解消するとっておきのコーチング・スキルをお教えする。

部下の方が経験豊富なので
気後れするのは当然

「複数の部署が急に統合されることになり、新しくできた部署の管理職に抜擢された」

「現在の役職より1つ上のポジションで空きが出た部署があり、分野としては専門外であるものの、自分がそのポジションを任されることになった」

 会社が自分の能力を信頼して任せてくれたという、たいへんうれしい事例ではありますが、同時に自分の実力で役割を全うできるのかという不安を感じる話でもあります。

 該当する部署には、すでに仕事を任されている実務に長けたたくさんのスタッフがいます。業務経験の少なさという点では、おそらくあなたがもっとも「素人」に近い状態で、その部署のトップの椅子に座るという特殊な環境が待っています。

 上司としての経験は積んできたとしても、その部署の実務的な業務に関してはまったくの未経験。自分より知識も経験も豊富な部下たちに囲まれての出発となると、気後れするのも当然です。

 しかし、その気後れを解消せずに、そのままずっと引きずっていては、部署を引っ張っていくことは難しいでしょう。あるいは、気後れしている自分を隠そうとして、自分のこれまでの実績を過剰にアピールして空回りする失敗を犯すかもしれません。