復興予算の「流用」「目的外使用」に対する批判が巻き起こっているが、問題は予算編成の仕組みそのものにある。最初に総額を決めて、後から使途を積み上げるやり方は、どうしても無駄が生じる。メスを入れるべきは、このシステムだ。

 東日本大震災のための復興予算が、「水産業の復旧支援」という名目で反捕鯨団体シーシェパードの妨害活動対策費に使われたり、被災地と遠く離れた企業への補助金や、はては被災地とは無縁の官公庁の耐震対策改修費にまで使われている。

 以前から一部のマスコミが指摘していたが、NHKが特集で取り上げて以来、一気に問題が広まり、国会でも取り上げられ、行政刷新会議が点検に乗り出した。

復興会議の決定に
悪乗りした政と官

 そもそも復興財源は、その半分が我々からの臨時増税である。予算総額は5年間で19兆円、さらに追加もありうることになっている。財源調達のため、来年1月以降、25年間所得税が2.1%上乗せになる。個人住民税の均等割も10年間年1000円増額され、法人税も、3年間は税額を10%上積みされる。

 すでに、復興関係費として、2011年度に約15兆円が予算として計上され、執行されている。会計検査院の監査まで待っていては、取り返しがつかない予算の無駄遣いが生じる。

 この問題の発端は、未曾有の大震災からわが国が立ち上がるのだという「異常な熱気」のもとで議論された復興会議の決定にある。平成23(2011)年5月10日に決められた、東日本大震災復興構想会議決定の中の復興構想には、原則5として、「被災地域の復興なくして日本経済の再生はない。日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない。この認識に立ち、大震災からの復興と日本再生の同時進行を目指す。」(下線筆者)と記されている。