:甲賀さんはおもしろい経歴をお持ちで、大学を出たあと、ベースボール・マガジン社に勤めたんですね。最終面接で落ちたのに、「なんで落としたんですか」と言って拾ってもらったんですって?

甲賀:そうなんですよ。意気込んで入社させてもらったのに、ぜんぜん役に立たなくて、当時の上司たちに謝罪したいです(笑)。

:起業したくて、そのあと出産を機に会社をやめたんですね。

甲賀:最初は若者ならではの気軽な気持ちで、「会社って15万円ぐらいあったらできるから、ちょっとやってみよう」ぐらいの感じで、お米を販売する事業を始めたんです。そんな感じだから、お米の事業の収益は趣味に毛が生えた程度にしかならなくて、「これじゃまずいな」と思って、勉強のためにコンサルティング会社に転職したんです。そのコンサルティング会社は、社員の8割がたが2年以内に起業していく感じのところだったので、「何をやったら社会に貢献できるんだろう」と考えて、これだと思ったのが水商売でした。

:水商売に「これだ」と目をつけたきっかけは何だったんですか。

甲賀:水商売業界のイメージや地位を向上したいというのがきっかけでした。それと従来のホステスさんの人材育成は、すし職人みたいに「見て盗め」みたいな感じなんですけど、ホステスさんだけじゃないと思いますけれど、見て盗めない人が大多数なんですよ。そこは何かテコ入れできるんじゃないかというのが、今でも大きな土台ではあります。

:へぇ~、なるほど。

甲賀:私、自分で言うのも何ですけど、勉強はずっと頑張ってきたほうで、高校のときは生徒会長をやったり、自分なりにまっすぐな人生なんです。「社会の役に立つために」というのは今も一貫していて、今のところ私の代わりがまだあまりいない状態なので、役割としていまできることを精いっぱいやることが自分なりの社会貢献だと思ってやっています。

:コロナ禍でも業界の声というと、私もたまに行く「ル・ジャルダン」(銀座の高級クラブ)の望月明美ママが、営業自粛要請に対して「私たちが今までどれだけ税金を払ってきたと思ってるんですか!」ときっぱり言ったのもカッコよかったです。甲賀さんご自身も、「ル・ジャルダン」でホステスの経験があるんですよね。

甲賀:そうなんです。この業界に入っていくためには現場を知らないとダメだし、それなりの実績がないと説得力もないなと思って、「ル・ジャルダン」さんにお世話になりました。

:いいところを選びましたね。

甲賀:とても勉強になるいいお店でした。働いているときに、お店にいらした林さんもお見かけしました。キラキラ輝いていましたよ。