林:あらっ、そうでしたか。甲賀さんは青学(青山学院大)ですよね。甲賀さんが「ル・ジャルダン」にいらしたころは、大卒のホステスさんが、まだめずらしかったですか。
甲賀:「ル・ジャルダン」がたまたまかもしれないですけど、東大の子とか学習院の子もいたり、学歴を持った人はけっこう多かったですね。国立大出身で今でも黒服をやってる男性もいます。もちろんそうじゃない子もいましたけど。
林:その明るいキャラクターでナンバーワンになって、すごい売れっ子になったんでしょう?
甲賀:私、かなりお酒飲めるんですよ。なので、それなりの売り上げがありました(笑)。
林:ナンバーワンになってお店の売り上げに貢献すると、「私、けっこうホステスさんの仕事向いてるじゃん。ママとして、自分のお店を出そうかな」ってことになりそうなのに、業界全体のことを考えたというのがすごいですよね。
甲賀:私、ホステスの仕事はきっと向いてないんですよ。でも、向いてないからこそ説得力があると思ったんです。特にホステスを始めたときは年齢も30歳近くて、いちばん華がある年齢は過ぎていたし、お客さまがゼロからのスタートだし、モデルさんみたいな子とは違って、親近感を持っていただきやすい自分の容姿も、逆にある意味武器かなと思って(笑)。
林:いやいや、十分おきれいですよ。
甲賀:現役として成功することが目的で業界に入ったわけではなくて、今の協会のような仕組みをつくろうと思って、それが目的でホステスの仕事を始めたんです。なのでそこはブレずに、いつやめるかを明確に日付まで決めて入りました。
林:ほぉ~。そうなんですか。
甲賀:ホステスの仕事をズルズル続けて、気づいたら40歳、これからどうしようみたいな感じになるという話をよく聞くんです。だからそうなってしまわないように、30歳の誕生月の最終日でやめようと思って入って、それに従ったという感じです。
(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)
※週刊朝日 2021年4月23日号より抜粋
※AERA dot.より転載