イギリスからの翻訳書Google・YouTube・Twitterで働いた僕がまとめたワークハック大全』は、コロナ禍で働き方が見直される中で、有益なアドバイスが満載な1冊だ。著者のブルース・デイズリー氏は、Google、YouTube、Twitterなどで要職を歴任し、「メディアの中で最も才能のある人物の1人」とも称されている。本書は、ダニエル・ピンク、ジャック・ドーシーなど著名人からの絶賛もあって注目を集め、現在18ヵ国での刊行がすでに決定している世界的なベストセラー。イギリスでは、「マネジメント・ブック・オブ・ザ・イヤー 2020」の最終候補作にノミネートされるなど、内容面での評価も非常に高い。本連載では、そんな大注目の1冊のエッセンスをお伝えしていく。(本記事は2020年10月9日の記事を再構成したものです)

【ベスト記事】クリエイティブな仕事をする前には、「コメディ動画」を見よう。Photo: Adobe Stock

コメディ動画を見てからクリエイティブな仕事をする

 2017年、ノーベル経済学賞の受賞者ダニエル・カーネマンは、人間の意思決定に関する研究を共同研究者の故エイモス・トベルスキーと共に開発していた当時を振り返り、鮮明に思い浮かぶのは苦労ではなく、笑いあった瞬間だと語った。

 2人が一緒に過ごした中で最も創造的だった時期は、最も笑いに満ちていたという。

「エイモスは実に愉快な人間だった。一緒にいると私も冗談を口にした。2人で何時間も真面目に仕事をしながら、同時にとても面白おかしい時間を過ごした」。

 おかしさを感じるとき、僕たちは決して無駄な時間を過ごしているのではない。笑いによって思考が緩み、創造性が刺激され、自由な発想が生まれやすくなるからだ。

 ドレクセル大学のジョン・コウニオスとノースウェスタン大学のマーク・ビーマンは、ロビン・ウィリアムズがコメディで観客を爆笑させている動画を被験者に見せ、その後で複雑な論理パズルを解かせた。

 その結果、コメディ動画を見て笑った被験者は、パズルを解く能力が2割も上がっていた。

 その理由は、笑いが、意外な組みあわせのアイデアを生み出すことに関連する、上側頭回と呼ばれる右耳のすぐ上にある脳の部位を刺激するからだと考えられている。思考が行き詰まったときは、笑いによって気を散らすことが効果的になる。