中国では圧倒的にローカルブランド化粧品が人気、その理由は?

 最近、中国国内では「Z世代」を中心に、ローカルコスメブランドの人気が非常に高くなっている。完美日記(PERFECT DIARY)、花西子(florasis)、珀莱雅(PROYA)など人気ブランドの一部は日本にも上陸して話題になっているので、ご存じの方もいらっしゃることだろう。

 そんな人気の中国ローカルコスメブランドが、ECでバカ売れしているのだ。2019年度、中国国内の各ECプラットフォームで、月間販売量TOP20の爆売れコスメを調べたところ、中国ローカルコスメが95%を占めており、海外コスメはわずか5%に止まっていたという。つまり、ECのコスメ市場においては、中国ローカルブランドの方が圧倒的に支持されており、日本や欧米のブランドはその足元にも及んでいないという現実があるのだ。

 日本の化粧品ブランドも、欧米のブランドも、中国のローカルブランドと比べて品質に遜色がないことは言うまでもない。ブランドの世界観もしっかりと訴求できているはずだし、パッケージもオシャレだろうし、中国女性が何を求めているのかというマーケティングに基づいた販促も行われているはずだ。

 にもかかわらず、現実は中国ローカルコスメに大きく差をつけられている。

 もちろん、国内ブランドと海外ブランドの顧客の支持というのは、さまざまな要素が複雑にからみあっているので一概にこれが悪い、あれがよくないとは断言できない。しかし、ECでバカ売れしている中国ローカルコスメブランドには、日本や欧米のブランドには見られない共通点がある。

 もうお分かりだろう、それこそが「歴史や伝統というストーリー性」である。

 以下、同研究所の「爆売れ中国ローカルコスメブランドから見る中国ブランドの勃興」というレポートから引用させていただこう。

《中国コスメが流行りの中国古代風の波に乗り、新商品を続々と創り出す。また、故宮や敦煌など中国歴史博物館、世界的に有名な芸術、国民的アイテムなどと協力し、IPコラボ商品を発表。例えば、花西子が“東方美学”をキャッチコピーにし、李佳琦と組んで“中国古代風”のコラボ商品を出し続ける。完美日記と「中国国家地理」雑誌をコラボし、アイシャドウパレットを出した。》

 このように中国の伝統文化の要素と取り入れたトレンドは「国潮」と呼ばれ、2018年ごろから注目を集めているという。これには、愛国心を刺激するということはもちろんだが、「歴史や伝統というストーリー」を訴求することによって、消費者のブランドに対する信頼感を押し上げる効果もあるのではないか。