失敗を重ねるうちに、習慣には実は二つの種類があるのだ、ということが、少しずつわかってきました。努力の蓄積がそのまま成果に反映する「積み上げる習慣」と、目の前にある問題を取り除き続けることで身につく「ためない習慣」です。

 この二つを混同してしまうと、せっかくの努力が成果に結びつかなくなってしまいますし、特に「ためない習慣」を軽視すると、人生の質そのものが低くなってしまいます。

「ためない習慣」は、一見地味であまり価値のないもののように見えますが、私はこの習慣に着目し、身につけたことで、「積み上げる習慣」も比較的ラクに身につけることができるようになりました。

「ためない習慣」とは

 では、2種類の習慣は実際のところ、どんなものが該当するのでしょうか。

「積み上げる習慣」は、一般的に次のようなものです。

・勉強・研究・執筆(入試、資格取得、発表、出版など)
・エクササイズ・練習(スポーツ、音楽など)
・ 貯金・投資

 このほか、実現したい夢に向かって準備し、一つひとつ必要なパーツを集めていくような習慣は、「積み上げる習慣」といっていいでしょう。

 これに対して「ためない習慣」は、「元に戻す」「常に一定の形を保つ」ことが目的なので、一見しただけでは、変化や成長が感じられないかもしれません。

 それは、「ためない習慣」が、基本的に「生きることをスムーズにするための習慣」だからです。具体的には、「適切な睡眠をとる」「住居を適切に片づける」など。栄養素でいえば、「積み上げる」がタンパク質(肉)や炭水化物(ごはん)、「ためない」がビタミンや無機質(野菜)といったところでしょう。