【教育をアップデートせよ!】#3 募集品質の標準化が成長の鍵

この保険セミナーを受けると
挙績1.5倍上昇!は本当に有効か?

4月から研修担当部門に着任された方へ

 前回記事『保険販売の研修で参加者が求めているのは「インプットよりもアウトプット」』では、研修を構築する際には、まず募集ツールを制作することが最優先であり、それを使いこなすための研修資料の完成度も重要であるとお伝えした。

 二つのモノを先に用意することで、参加者の研修後の姿を行動ベースで明らかにし、そこから逆算して習得すべき知識を明確にしていくのである。この段階で、ようやく受講者目線の研修準備ができたといえよう。

 人事異動が頻繁にある保険会社では、研修部門においても毎年社員の入れ替えが発生する。着任したばかりの社員に対しては、まず人前で話すことができるようにプレゼンテーションのスキルを訓練させる会社が多い。

 しかし、そのような表面的なことよりも前に、研修の箱作りの思考・手法を教える方が重要といえる。他の仕事と同様、研修の成否の9割は事前準備に懸かっているからだ。今回は幅広い属性を持つ保険募集人の標準化に向けた研修手法について述べていきたい。

「当セミナーの実績!挙績が対前年1.5倍上昇!」は信用できるのか?

 本題に入る前に、研修講師の評価体系について簡単にお伝えする。前々回記事『保険販売優績者の話は成果につながらない?なぜ名選手は名監督になれないのか』でお伝えした通り、保険会社の研修では効果測定のために最後にアンケートを取ることが多い。

保険ラボPhoto:PIXTA

 ところが「本日の研修内容はお役に立ちましたか?」「営業活動に有益な内容でしたか?」といった、ほとんどが参加者のオトナの対応によりYesとなる質問が並んでいるため、講師によってそれほど差は生じない。「参加者の98%は有意義と回答!」と宣伝されているような研修は、実のところ普通のレベルといえる。

 中には参加者の研修前後の挙績にて効果測定することもあるが、ここにも注意が必要である。

 例えば、それぞれ100の実績がある募集人が10人参加する研修があるとする。受講前の実力は合計1000である。受講後に全員が同じように150となった場合、合計1500となり大きな効果がある研修だったといえるであろう。

 しかし、実際はそのように実力が均一の10人が参加するケースは皆無である。10人の実績はピンキリであり、大きな実績を有する2人のみが伸展しただけで全体が1.5倍となった場合、研修の効果があったかというと疑問である。

 上位2割と下位2割を除いた中位6割の平均値の伸展率で測定するのが適切といえよう。研修部門では新年度になると「効果測定が大切!」と議論が盛り上がるが、夏を過ぎればウヤムヤになるのが通例である。