最も多かったのは、埼玉県の大野元裕知事で142万円だった。減額はしていない。大臣を含む全国ランキングでは、唯一、菅首相よりも給与月額が高い。

「自民党の反対で給与が下げられなかったんです」

 こう話すのは埼玉県議で知事に近い「無所属県民会議」の岡重夫代表だ。大野知事は昨年9月、知事などの給与を削減する意向を示し、議会に条例案を出した。これに呼応して、県議からも議員報酬を削減する条例案が出された。しかし、県議会で多数を占める自民党の反対でこれらの条例案は否決された。岡代表はこう語る。

「県職員の給与が減り、県民の生活も非常に厳しくなっている中で、知事もそれに寄り添うとして給与削減を提案した。これは組織のトップとしては当たり前のこと。会社であれば、社員の給与が下がっている中で、社長だけが満額の給与をもらっていたら、士気にかかわりますよ」

 これに対し、県議で自民党県議団の田村琢実幹事長は「県民感情に寄り添うと言っているが、『知事の給料を減らせ』というような声はない」と一蹴する。懸念するのは、場当たり的に給与が決められてしまうことだ。田村幹事長は「私見」としたうえで、こう語る。

「給与は民主主義を機能させるための経費。減らすことになれば、われわれ代表者の活動ができなくなる。歴史的な経緯があって定められている給与は簡単には変えるべきではありません。知事がコロナ対応でミスしたというなら理解もできますが、そうではないので、減額はパフォーマンスでしかないと考えました」

 ゴタゴタはあったが、その後、大野知事が今年2月に知事のみボーナスを全額カットする条例案を提出。自民党も「知事だけなら」(田村幹事長)と軟化し、可決されている。

 3位は千葉県の熊谷俊人知事で139万円。ただし、5月から20%減額し、111万2千となる。4位は福岡県の服部誠太郎知事で135万円、5位は茨城県の大井川和彦知事、岐阜県の古田肇知事で、いずれも134万となっている。現時点で減額していないが、今年3月に辞職した小川洋前福岡県知事は昨年度に月額報酬とボーナスを20%カット、大井川知事は月額報酬を20%カットしている。

 7位は群馬県の山本一太知事で131万円、10位は静岡県の川勝平太知事で130万1千円だった。両知事とも昨年度も含めて削減はしておらず、ボーナスもカットしていない。なぜか。