カリブ海に浮かぶ小国・ドミニカ共和国に住み、中南米の新興国を舞台に貿易事業を展開する風間真治さん。感染者数も落ち着き、中国製ワクチン接種の広がりに経済回復の期待を託すドミニカ共和国の今をレポートします。
WHO(世界保健機関)が世界に向けて「COVID-19(新型コロナウイルス)がパンデミックである」という宣言を出してからすでに1年以上が過ぎました。しかし変異種が登場したこともあり、日本を含め緊急事態宣言の検討を繰り返す国が多く、我々人類はいまだに新型コロナウイルスについて多くの課題を抱えています。
私が住んでいるドミニカ共和国でも、春先からようやく、新型コロナのワクチン接種が始まりました。ワクチン接種によって、新型コロナウイルスが巻き起こした負のスパイラルは少しずつ収束に向かうのか、国民の多くがその動向を注視しているところです。
こうした状況下で、ドミニカ共和国の「コロナ禍における現在地」をレポートしてみたいと思います。
不慣れなマスク、携帯用消毒スプレーも定着
新型コロナウイルスによって、ドミニカ共和国でも国民の生活は様変わりしました。中南米の国々では米国と同様に、風邪や病気で「マスクをつける」という文化的習慣はありませんが、今ではどこに行くにも、国民のほとんどがマスクをするようになりました。

また、外出時は、アルコール消毒液を入れた携帯用スプレーをポケットなどに入れて持ち歩くのが当たり前で、スーパーマーケットやショップに入って車に戻る際には、必ずスプレーで手を消毒をしてからハンドルを握るなどが習慣化されました。
それ以外にも、エレベーターやインターフォンなど、多くの人が使うボタン類は、人差し指を使って押さずに、肘や指の関節部分などを使うのが一般的になってきています。



新型コロナ感染者数は緩やかに減少傾向
ドミニカ共和国の新型コロナウイルスの感染者数は、昨年末から年明けまで、日本と同じような曲線をたどっており、とくに昨年11月から今年1月にかけて急速に感染者数が増加しました。
年が明けてからようやく、イギリス型やブラジル型の変異種が発見されましたが、年末にはすでに、相当数の変異種が上陸していたのではないかと思われます。

その後は、1月11日の緊急事態宣言を経て、4月4日のイースターの感謝祭による連休(日本で言えばお盆のような連休)があったため若干増加の動きがありましたが、全体的には緩やかに減少してきています。
ドミニカ共和国の人口は大体1200万人ほどで、東京の1.3 倍ぐらいの規模ですが、現在の1日の感染者数は平均400人台、死亡者数は平均1%(4人)前後という状況が続いています。
病床数が確保されたことで死亡率がかなり減ってきたことや、2月から開始されたワクチン接種が進んでいるというニュースが、国民の安心感につながっています。その一方で、そうしたニュースによって蔓延防止に対する国民の意識が薄れてきており、再度の感染者数増加を懸念する声も多く聞かれます。
いずれにせよ収束までにはまだまだ時間がかかる印象です。
次のページ>> 平日は22時、週末は21時以降の夜間外出制限
|
|