米国は今後数カ月の
北朝鮮の行動で判断

 ブリンケン国務長官は、G7外相会合が行われている英国のラーブ外相との共同記者会見に臨み、米国は対話再開にオープンである、対話再開のボールは北朝鮮にあるとして、北朝鮮が交渉の場に戻るよう手を差し伸べた。

 記者からは、バイデン大統領が議会演説で北朝鮮を「深刻な脅威だ」と発言したことを受け、北朝鮮は「大きな失敗をした」と反発していることについて、「対北朝鮮政策レビューが完成したが、今まで北朝鮮が見せた反応に北朝鮮との外交再開の希望はあるか」との質問があった。

 これに答えてブリンケン国務長官は、「北朝鮮が外交的に関与する機会と捉え、朝鮮半島の完全な非核化に向けた道筋がないか検討することを望む」「我々は外交に焦点を合わせた明確な政策を持っている。その基準で関与を望むかどうかを決めるのは北朝鮮だ」として、北朝鮮が交渉に応じるよう促した。さらに、「我々は今後数日間または数カ月間、北朝鮮の言葉だけでなく、実際に何をするかを見るだろう」と述べた。

 米国は、北朝鮮が挑発する可能性を排除していない。ワシントン・ポストも米政府当局者の「対北朝鮮政策レビューの結果は北朝鮮の挑発を防ぐとは考えにくい」との発言を伝えた。ブリンケン国務長官の「数カ月」という発言は、北朝鮮の一つの動きだけで性急な判断はしないという意味にもとれる。北朝鮮の行動によって直ちに交渉を打ち切ることはしないという意思を伝えたものであろう。これは米国が真剣な交渉を北朝鮮に求めたものであり、それだけ、北朝鮮との交渉は難しいと考えているということなのかもしれない。

 また、米国は非核化という最終目標について、北朝鮮にとってはより拒否感の少ない「朝鮮半島の非核化」という言葉を使用した。ブリンケン国務長官は3月の日本・韓国訪問時は「北朝鮮の非核化」という表現を使っていた。だが、「北朝鮮の非核化」は核開発と脅威に対する責任が北朝鮮にあることを明確に示す言葉であり、北朝鮮の一方的譲歩を求めるニュアンスに受け取れる。