株式市場も怯えるインフレ進展、生活防衛のための「FRESH投資法」とはPhoto:PIXTA

インフレは本当に一時的か
株式市場に走る動揺

 米国のインフレで株式市場が動揺している。5月12日に発表された米国の4月の消費者物価指数(CPI)は、前年比+4.2%と事前予想を上回った。米連邦準備制度理事会(FRB)が早期にテーパリング(量的金融緩和の縮小)に踏み切るとの見方から、5月7日に史上最高値を更新したNYダウ平均株価は、わずか3日で1190ドル下落。日経平均株価も一時2千円以上の連れ安となった。

 もっとも当のパウエルFRB議長は、物価上昇は一時的だとして様子見の構えだ。そもそも昨年の今頃はコロナ禍で物価が下落しており、前年比の数値は高く出て当然だ。またCPIの内訳を見ても、航空運賃+9.6%(前年比、以下同じ)、宿泊+7.6%、スポーツ用品+7.0%など、経済再開による需要増で、価格が一時的に押し上げられたとおぼしき品目は少なくない。

 それでも市場の不安が拭えないのは、インフレが一時的とは言い切れない兆候が見られるからだ。在宅介護+9.1%、引越し+7.4%、宅配+5.9%などは、典型的な人手不足型の価格上昇だ。グローバル供給体制の見直しに伴う、部品不足の影響も気になる。例えば、中古車が+21.0%と急騰したのは、半導体不足で自動車の生産台数が減少した余波と思われる。ウッドショック(木材不足による価格高騰)を背景に、家具+7.8%も顕著に値上りした。

コロナ後に待ち受ける変化
日本でも物価上昇は起こり得る

 筆者は以前のコラム(コロナ後に待ち受ける「3つのコストアップ」を乗り切るための投資法)で、人手不足による労務費の上昇や、グローバル供給網の見直しに伴うコスト増など、コロナ後の社会構造の変化が物価を押し上げる可能性を指摘した。いま米国で起きている物価上昇は、まさに構造的な要因が作用し始めたためと考えることもできる。それが正しいとすれば、日本でも経済が再開すれば、物価上昇は起こり得る。

 物価上昇は購買力を弱め、生活レベルを低下させる。それならば投資でひと儲け、と言いたいところだが、物価上昇は金融市場にとっても逆風となる。特にコスト・プッシュ型のインフレは、投入コストの上昇を通じて企業の利益率悪化を悪化させる。消費者に価格転嫁できれる企業は良いが、それができない企業は利益を削るしかない。

 インフレ下で求められる資産運用は、生活防衛と投資対象の選別という二つの課題を満たすものが理想的だ。以下では、生活防衛を兼ねた資産運用のアイディアの一つとして、筆者が実践している「FRESH投資法」をご紹介したい。