企業の女性活躍を阻む「3つの問題」と「オールド・ボーイズ・ネットワーク」企業の女性活躍を阻む「オールド・ボーイズ・ネットワーク」とは? Photo:PIXTA

今年3月に発表された「ジェンダーギャップインデックス2021」では、日本は調査対象国156カ国の中で120位とG7の中で相変わらずの最下位となった。10年前は98位で、その後、安倍内閣が企業の女性活用を推し進めたが、世界はそれをはるかに超えるスピードで進めていたのである――。東京ガス初の女性役員であり、同社のITプロジェクトの中枢を担う東京ガスiネット社長の鴫谷あゆみ氏と、日本IBM初の女性取締役に就任後、企業におけるダイバーシティ・マネージメントの推進を支援するNPO法人J-Winを立ち上げた内永ゆか子氏が、「経営戦略としてのダイバーシティ」をテーマに対談。その示唆に富んだ内容の後編をお届けする。企業の成長を妨げる「オールド・ボーイズ・ネットワーク」とは何か?(構成/ダイヤモンド編集部 長谷川幸光)

企業で女性の活躍を阻む
「3つの問題」とは?

内永ゆか子内永ゆか子
うちなが・ゆかこ/NPO法人J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)理事長。1971年東京大学理学部卒業。日本IBMに入社、1995年に同社初の女性取締役に就任、常務取締役ソフトウェア開発研究所長、取締役専務執行役員などを経て2007年に退職。企業におけるダイバーシティ・マネージメントの推進を支援するNPO法人J-Winを立ち上げ、理事長に就任。ベネッセコーポレーション副会長、ベルリッツコーポレーション会長兼社長兼CEOを歴任。著書に『もっと上手に働きなさい。誰も教えてくれなかった女性のための仕事のルール』(ダイヤモンド社)など。

J-Win・内永ゆか子(以下、内永) ジェンダーギャップインデックスには、ビジネス、政治、教育、医療の4つの分野があって、ビジネスでは117位、政治では147位でした。私は日本で女性管理職が増えない理由として、女性のキャリアアップを妨げる「3つの問題」があると考えています。

 1つめは、女性個人の意識の問題、チャレンジに対するためらいです。優秀な女性であっても、経験不足で自信がない、ロールモデルがいないなどの理由で「私は結構です」と、尻込みをしてしまうのです。管理職になることの魅力がわかっていないからでしょうね。するといつまでたってもロールモデルが生まれないままです。

 2つめは、今、世の中でいろいろといわれている「働き方」の問題です。女性はこれまで、「ワーク」と「ライフ」の両方をマネージできる自由度が少なかった。最近でこそリモートワークも普及し、少し変化が出てきましたが、育児や出産なども含めて女性の「ワーク・ライフ・マネジメント」というものは本当に難しく、問題であることに変わりありません。

 そして3つめの問題が「オールド・ボーイズ・ネットワーク」と呼ばれるものです。成功体験を持つマジョリティがつくってきた文化ですね。実は女性活躍を阻む3つの問題の中でこれが一番大きな壁となっています。

「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という言葉は、何も私がつくった言葉ではありません。以前、IBMで各国の女性エグゼグティブの集まりがあった時に、「なぜ企業で女性の管理職が増えないか?」という話になり、その中で「オールド・ボーイズ・ネットワークが、ビッグバリアよ」と、彼女らが言ったのです。私はその言葉を知らなかったので、「それ何?」と聞きました。