石井 また、白河さんの“よろい”の話にもつながりますが「私は上司だし、完璧超人で何でもできます」みたいな態度を上司が取ってしまうともったいない。上司も「ここが分からないから、教えてほしい」という姿勢を取ると、チームメンバーも上司本人も楽になれます。

 ただ、上司になった途端に「弱みを見せない」タイプに変わってしまう人もいますね。よかれと思って努力しているのでしょうが、そんなよろいを着込まなくたっていいんですよね。

白河 それでいうと、一人で抜擢されて役職についた女性が「弱みを見せない」タイプになってしまいがちです。女性代表のように持ち上げられて、ものすごいプレッシャーがある。女性の皆さんに気をつけてほしいのは、男性のこわもて上司をまねするべきではないということです。大事なのは、心理的安全なチームを作って成果を出すことですから。

チームのために明日からできること

石井 心理的安全性の高いチームを作るためには、まず自分自身の行動を変えることが大事です。組織やチームについて、自分も構成している一員なのに、どこか他人事で語る人が多いですよね。例えば「うちの若手は、なぜ発言しないんだ!?」なんて言って「若手の問題」にしてしまいます。そのチームや組織に自分自身が含まれているなら「私自身は若手が発言できるような促しやサポートができているか?」という問いになるでしょう。

 心理的安全性が高いチーム作りは、別に人事や経営企画という立場にいなくても、役職を持っていなくても、あらゆる人が踏み出せます。チームの環境はリーダーだけでは変えられないので、所属する全員が自分事として「自分がちょっとずつ変える」のがいいんじゃないかと思います。

白河 私が必ず言うのは、「鏡を見てください」です。口がへの字になっていませんかということ。不機嫌な人が職場にいると生産性が下がるというデータがあります。

石井 仕事中は不機嫌にしなきゃいけない、楽しんではいけない、みたいな「勘違い」もありますよね。白河先生のおっしゃる「働かないおじさん(変化を拒む人)」って実のところ、失点をしないよう苦痛に耐えるゲームをしている。そうではなくて得たいもの・大切なもののために向かっていくこと。「今日も楽しく仕事ができた!」という状態を目指していきたいですよね。