確かに、お腹の出具合に関係はありますが、原因ではないのです。食べ過ぎが原因なら全身に脂肪がつきますが、まったく太っているわけではない、それどころか、やせているのにお腹だけ出ている人は珍しくありません。
お腹が出る原因は何なのかというと、端的に言えば、お腹を引っ込める筋肉を「使えていない」または「使っていない」からです。
そもそも私がお腹を引っ込める動作に着目したのは、腰痛がきっかけでした。24歳のときにスポーツクラブのインストラクターだった私は、腰が痛くなるとやむを得ず腰痛用のコルセットを使っていました。
腰が痛くても体を動かさねばならず、コルセットを巻くときにはより強く固定するために、お腹を引っ込めて巻いていました。ところが、コルセットをしているあいだだけは腰が楽になるものの、コルセットを使わないでいると再発します。
その堂々めぐりから抜け出したくて、コルセットに頼りすぎないように、コルセットを使えないときにもお腹を引っ込めておくことを意識しました。しばらくすると、腰痛が楽になったうえに、ジャージがゆるくなっていることに気がついたのです。
「お腹が以前よりも凹んでいる!」
それはそれは、大きな衝撃でした。当時の私は今より体重7kg、ウエスト7cmは多く、ハードな腹筋運動やエアロビクスを行ってもお腹の見た目は一向に代わり映えしないという苦い思いをしていたので、目からウロコ的な驚きがありました。
それ以来、私はお腹を引っ込めて凹ませるダイエット方法を30年近く、自分自身が実践しながら指導と研究を続け、現在の結論を導き出したのです。
それがすぐに効果が出るメソッドとして評判を呼び、雑誌やテレビからも多数、取材を受けました。参加当日にサイズダウンするセミナーは、健康保険組合、企業、カルチャースクールなど、参加者は1回につき十数人~500人以上までといろいろですが、年間約2000人×20年=のべ4万人以上にものぼります。私自身、特別な運動はいっさい行っていませんが、まったくがんばることなく58cmのウエストサイズを、53歳の今も維持しています。
お腹を引っ込めるという動作があまりにも地味なため、はじめて本として出版してもらえるまでに、足掛け10年以上はかかりましたが、「なぜもっと早く教えてくれなかったのか」とのお声をいただくようになりました。伝えることをあきらめなくて、本当によかったと思っています。