プルデンシャル生命保険で「前人未到」の圧倒的な業績を残した「伝説の営業マン」である金沢景敏さん。営業マンになった当初はたいへん苦労しましたが、あることをきっかけに「売ろう」とするのをやめた結果、自然にお客様から次々と「あなたからサービスを買いたい」と連絡が入るようになりました。どうすれば、そのような営業スタイルを作り上げることができるのか? 本連載では、金沢さんの初著作『超★営業思考』を抜粋しながら、その「秘密」をお伝えしてまいります。

“超一流の営業マン”がお客様と話すときに、<br />意識を集中させている「意外なこと」とは?Photo: Adobe Stock 写真はイメージです。

さまざまな話題を提供しながら、
お客様の「本心」を探り当てる

 お客様とのコミュニケーションは「聞く」のが基本です。

 ただし、単に「聞く」だけではありません。大事なのは、お話を伺いながら、お客様の「本心がどこにあるか」を察知することです。「お客様が何を大切に思っているのか?」「何を心配しているのか?」を知り、その気持ちをサポートするにはどうすればよいかを考える。ここに、営業マンの「真の存在理由」があると思うのです。

 だから、僕は、お客様とお話するなかで、相手に響くツボを探しています。

 面会の際には、家族、子ども、資産、相続など保険に直接関係するトピックから、スポーツ、出身地、趣味、こだわりなどの個人的なことまで、いろいろなテーマでお話を伺いますが、そのなかで、どの話題に触れたときに、お客様が特別なリアクションを示すかを観察するのです。

 重要なのは、それは無意識的な反応であることです。お客様は、「本当に大切にしていること」「本当に心配していること」を明確に意識されているわけではありませんし、もしも、意識しているとしても、出会ったばかりの営業マンにそれを言葉で伝えることはあまりありません。

 いや、無意識の反応だからこそ、それはお客様の「本心」だと言えるのです。

 いわば、医師が患者を診るときに「触診」をするようなイメージです。患者は自分の体のどこが悪いのかがはっきりとはわかりません。だから、医師が触診しながら患者が「痛がるポイント」を探り、そこから症状や病因を明らかにしていくわけです。

 それと同じで、どの話題に触れたときにお客様が特別なリアクションをするのかを見極めて、そこからお客様の潜在的なニーズを探り当てていき、そのニーズにお応えするのが営業マンの仕事なのです。

 リアクションは十人十色です。

 重要な話題に触れると、声が高くなる人もいれば、目が鋭くなる人もいれば、眉を動かす人もいれば、身を乗り出す人もいます。だから、僕は、お客様の全体を「絵」として見ながら、そこに起きる「変化」に注意します。

「間違い探し」のようなイメージです。2枚の似たような絵が掲載されていて、「違っている箇所はどこか?」と問うクイズがありますが、あの要領でお客様の「変化」に目をこらすのです。そして、大きな「変化」が起きたときには、そこに重大な問題が隠されている証拠だと考えて、そのテーマを掘り下げていくわけです。

“超一流の営業マン”がお客様と話すときに、<br />意識を集中させている「意外なこと」とは?金沢景敏(かなざわ・あきとし)
元プルデンシャル生命保険ライフプランナー AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役
入社1年目にして、プルデンシャル生命保険の国内営業社員約3200人中の1位(個人保険部門)になったのみならず、日本の生命保険募集人登録者、約120万人の中で毎年60人前後しか認定されない「Top of the Table(TOT)」に3年目で到達。最終的には、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な実績を残した。
1979年大阪府出身。東大寺学園高校では野球部に所属し、卒業後は浪人生活を経て、早稲田大学理工学部に入学。実家が営んでいた事業の倒産を機に、学費の負担を減らすため早稲田大学を中退し、京都大学への再受験を決意。2ヵ月の猛烈な受験勉強を経て京都大学工学部に再入学。京都大学ではアメリカンフットボール部で活躍した。
大学卒業後、2005年にTBS入社。スポーツ番組のディレクターや編成などを担当したが、テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じて、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命保険に転職した。当初は、アポを入れようとしても拒否されたり、軽んじられるなどの“洗礼”を受けたほか、知人に無理やり売りつけようとして、人間関係を傷つけてしまうなどの苦渋も味わう。思うように成績を上げられず苦戦を強いられるなか、一冊の本との出会いから、「売ろうとするから、売れない」ことに気づき、営業スタイルを一変させる。
そして、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRT(Million Dollar Round Table)の6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、自ら営業をすることなく「あなたから買いたい」と言われる営業スタイルを確立し、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な業績をあげた。
2020年10月、プルデンシャル生命保険を退職。人生トータルでアスリートの生涯価値を最大化し、新たな価値と収益を創出するAthReebo(アスリーボ)株式会社を設立した。著書に『超★営業思考』(ダイヤモンド社)。