規模の小さい企業になればなるほど1人の社員が担う役割が増え、業務の切り分けが難しいこともテレワークの導入についてはハードルとなっているようだ。

 併せて、営業担当者などの出勤を減らすと業績の悪化に直結する場合やテレワーク導入のための投資を行う経済的余力やノウハウにも違いがあることが指摘されている。

 さらに、当然のことながら、業種によってもテレワークの導入に対して親和性の高さに違いが生じている。

 同じ総務省の調査では、「情報・通信」分野が47%、「金融・保険」が41%と比較的高い導入率を示したのに対して、「運輸」12%、「サービス」16%、「卸・小売」20%、「製造」21%など、オンラインでの業務が主流となっているIT産業や金融業と比較して、実際にモノづくりを行ったり、販売したりする労働集約型産業は、依然として低い導入率にとどまっていることが明らかになった。

 全業種の平均は20%で、「建設」や「不動産」は意外にも平均をやや上回るテレワーク導入率を示していることがわかる。オンライン内見や説明会の実施、IT重説の運用開始などがテレワーク導入に際して功を奏した可能性が考えられる。

 このように、テレワークの導入・定着については地域によって、また企業規模や業種によっても比較的大きな違いが表れている。

 つまり、首都圏に所在する規模の大きい企業で、かつIT産業や金融・保険関連事業を行う企業は、テレワークを導入している割合が高いという蓋然性があることになる。