ワクチンで感染することはない
1回目の接種で起きたこと

 大森さんが接種した新型コロナウイルスワクチンは、ファイザー/ビオンテック社が開発したmRNAワクチンだ。mRNAワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)表面に突き出たスパイクタンパクの設計図=mRNAを体内に届け、免疫細胞に「SARS-CoV-2はこんな部品を持ったウイルスだよ」と「予習」させることで、本番のウイルス来襲に備える仕組み。

 体内に取り込まれたmRNAは 細胞内の酵素の働きで数十秒後から分解され始め、数日後には体内から消失する。また、このとき体内で作られるのはあくまでもウイルスの一つの部品であって、ウイルスそのものが再現されるわけではない。ワクチンでSARS-CoV-2に感染することはあり得ないので、安心してほしい。

 さて、大森さんのメモから接種後の経過を追ってみよう。

(以下は個人の体験です。ワクチン接種後の副反応には個人差があります。また、各自のワクチン接種に関しては厚生労働省やお住まいの自治体のサイト、かかりつけ医の意見を参照してください)

5月某日午後2時45分~(接種当日)

 市内某所接種会場にて。幸いにも担当してくださったのは旧知の看護師さん。問診から接種への動線もスムーズで、安心感があった。

(1)筋肉注射は「え、あらら?もう終わったの?」という感じで、局所の痛みは全くなし。毎年の季節性インフルエンザの予防接種では、薬液中の添加物に反応しているようで、皮下に薬液が入るなりかゆみと接種部位の腫脹(はれること)があるのに。

(2)接種後30分間の待機。私はアレルギー体質、気管支ぜんそく、薬による薬疹(ぽつぽつ)などの既往があるので覚悟していたが、何も起こらず。

同日 午後6時~

 帰宅後、なんとなく目、鼻腔、耳の中や頭皮、額にかゆみが……。体調が悪いときにカニを食べた後の反応に似ているかも。何か遅延性のアレルギー反応が起こっている可能性。また、接種部位に筋肉痛が出てきた。これは筋肉の炎症で生じる痛みで、程度の差はあるけれど想定内。

 接種8時間後、おなかが痛くなり下痢。その後、夜中にも下痢。下痢の症状は一緒に接種をした薬局のスタッフからも、数人の報告があった。

(ファイザー/ビオンテック社製mRNAワクチンの臨床試験結果では、ワクチン接種後の下痢症状の発生率は、ワクチン接種群とプラセボ〈偽薬〉接種群で同等でした)

接種2日目

 朝から軽い頭痛と耳鳴り。倦怠(けんたい)感、熱を測ったところ36.9℃と平熱よりやや高め。下痢が続く。お水を飲んでトイレに行き、ひたすら寝る。夕方頃からずいぶん、楽になってきた。

接種3日目

 腕の筋肉痛、アレルギー反応からのかゆみはほとんどなくなる。下痢も治まった。倦怠感は若干あり。回復してきて思うのは、ワクチン接種でこの反応なのだから、本物のウイルスに感染したときのダメージはいかほどのものか!!ってこと。そう考えると、やっぱり感染は怖い!