ほとんどの読者が「PER」をご存じだろう。「株価収益率」という日本語を当てることが多いが、株価を1株当たりの利益で割った倍率がPERだ。純利益が100億円ある会社が1億株の株式を発行していると、1株当たりの利益は100円だ。この会社の株価が1000円なら、PERは10倍となる。

 利益は、今期の予想利益を使って計算することが多い。現在の東証1部上場銘柄の平均PERは、日本経済新聞社の利益予想をベースとすると12.76倍だ(10月22日終値。日経平均は9010円)。これを、昨年度の利益実績から計算するなら18.94倍だ。昨年度は東日本大震災、福島第1原発の事故、円高、さらにタイでの洪水と、企業の利益が圧迫される要因が異様に集中したのでやや特殊だ。

 株価は、理屈上、将来の利益の割引現在価値の合計だが、将来の利益はわからないのが現実だ。この場合、当面の利益を基に利益と株価との比率を計算してみるのは不完全とはいえ、「1次近似」的分析として説得力はある。

 投資対象を評価する場合、PERは低いほうがいいというのが一般的な原則だ。利益が同じなら、投資する際の株価は低いほうがいいということだ。とはいえ、仮に当面のPERが高くても、今後に予想される利益の成長が顕著なら、PERは高くてもいい。現に、市場の株価形成はおおむねそうだ。

 現在のPERと将来の利益成長との間に一定の関係があるとすると、「PERが低い銘柄の株式に投資するほうがいい」という投資戦略には、投資家が利益成長の高い銘柄を過大評価していて、これが将来訂正されるとみる意味がある。

 米国株で見ても、日本株で見ても、過去の長い期間にあっては、PERが低い銘柄に投資するほうが投資効率がいいことが多かった。だが、ここ数年の日本株投資にあっては、PERによる銘柄選別が有効に機能していないという声が多い。

 これが一時的な現象で、「低PER効果」が再び現れるようになるのか、ならないのかを自信を持って判別できる根拠はないが、過去の経験から推測すると、再び有効になる時代が将来訪れるのではないかと思われる。低PER効果には、これが有効な時期とそうでない時期があり、これらが、場合によっては数年単位のかなり長い時間をかけて入れ替わっている。