本書の要点

(1)今求められているのは、情報を単に記憶するだけのハードディスクのような知識の積み上げではなく、知識や情報を組み合わせて考えるCPU的なアタマのよさとしての「教養」である。
(2)「川を上り、海を渡って」考え、自分の意見、結論を「マイ・ストーリー」として紡ぎ出すことが、自分の頭で考えるということである。
(3)インターネットは情報へのアクセスを容易にしたが、知識の価値を急落させ、偏った情報ばかり与える環境を生み出した。だからこそ、「川を上り、海を渡って」自分なりの疑問を調べ、考えることが大切だ。

要約本文

【必読ポイント!】
◆自分の頭で考える力
◇教養とはCPU的思考

 学者は何でも覚えていて、頭がいいと思われがちだが、大量の知識だけを積み上げて記憶したハードディスクのような存在になりがちである。ハードディスクだけでは、価値は生み出されない。CPU(中央処理装置)がハードディスクの中にある情報を計算することで、はじめて「価値」が生み出されるのだ。

 情報や知識をどのように使い、どのようにつなぎ合わせて活用するかという、CPU的な思考こそが、本当の意味で賢いということ、価値あることである。

 今、求められているのは、CPU的なアタマの良さ、賢さである。インターネットやスマホが普及したことで、誰もが世界のあらゆる情報に、瞬時につながることができるようになった。その結果、「何でも覚えている」「よく知っている」ことの強みはなくなり、「知識」の価値は急落した。

 一方、グローバリゼーションの進展やAI、ロボティクス技術の発展は、これまでの当たり前を変え、環境を激変させている。過去問をひもといても正解が載っていない世の中においては、過去の蓄積でしかない知識だけでは太刀打ちできない。知識や経験を組み合わせて考える、CPU的なアタマの良さが必要になっているのだ。著者は、このCPU的なアタマの良さを、考える力としての「教養」と呼ぶ。