議会発条例12本が目標→3本しか成立できず
委員会ネット中継めぐる審議でも右往左往

 彼らが都議会第1党となった4年前の都議選のスローガンは「ふるい議会をあたらしく」だった。他の自治体と比較して極端に少なかった議会初の条例提案を12本実現すると宣言したが、この間実際に都民ファが主導して提出され、成立したのは「子どもを受動喫煙から守る条例」「東京二○二○オリンピック・パラリンピック競技大会に係る文書等の保管及び承継に関する条例」「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の改正」の3本だ。

 いずれも、都民生活に変化を感じさせるほどインパクトのあるものとは言い難く、都民に尋ねても、条例名を答えられる人はほとんどいないだろう。

 無論、都民ファが単独過半数を確保できなかった段階で、条例12本を単独で「成立」させることは現実的には難しい。しかし、成立の可否はともかく、条例案が議会から提出され議論が活発化することも重要だったはずであり、条例提出が上記3本にとどまったことの言い訳にはならない。

 また、私が都民ファの内側から見て、改革の本気度を疑わざるを得ない場面は他にも数多く見られた。

 例えば、改革の“一丁目一番地”と呼ばれた「情報公開」の一環として2019年夏、常任委員会へのインターネット中継の導入について都議会で議論された。

 私は都民ファの情報公開推進委員長として取りまとめを行う立場であったが、その経過の中で、他会派から即時導入に反対の声があり、協議が一時こう着状態となった。

 他会派からは、反対の明確な理由も示されず、時間だけが過ぎてゆく。都議会第1会派として世論に訴えた上で、最終的に多数決になったとしても改革を推し進めるべきだという私の主張に対して、都民ファ幹部の判断は違った。「全会派」が賛同しなければ決定には至らない。都議会においては明文化されていないいわゆる「慣習」に則って、先送りしようとしたのだ。

 明確な理由も伴わない反対で議論をストップされ、都議会の「習慣」に従って先送りされるのであれば、議会改革など進みようもないし、時期を改めて進められる保証も無い。

 そうこうしている間に、中継導入に向けた議論の経緯がメディアに報道され、批判を恐れたのか、反対していた会派が態度を改め、導入が決まったが、古い議会の慣習の枠内でしか改革を進めようとしていない都民ファ幹部の姿勢を見て、大いに失望したのを覚えている。「ふるい議会をあたらしく」ではなかったのか、と。