小池知事の“神託”をかさに着る荒木代表
忖度する都議と都職員、そして目立つ“ヤジ”

 この条例をめぐり、都民ファーストの対応が場当たり的に変わっていったことから、都議会公明党は今年3月、自民党会派と政策協定を結んだ。小池知事への支持を表明し都民ファと連携してきたのだが、公明党都議団幹部は都民ファについて「会派の意見が集約できない」と突き放し、三くだり半を突きつけられた。当時内部にいた私から見ても、都民ファ内の交渉過程は混沌としており、その指摘はもっともなことだと思う。

 都民ファーストの政策推進が稚拙かつ、一貫しなかった最も大きな要因は、党代表である荒木都議の専横にあったと私は確信している。

 荒木都議は、所属議員の合議や、他の幹部議員の裁量に干渉し、その都度、思いつきと感情の赴くままに影響力を行使してきた。荒木都議は小池知事が「娘」と呼ぶ側近中の側近であり、彼女の言葉には小池知事の威光が宿る。

 所属議員や都庁職員は、そんな荒木都議に忖度を重ねに重ねるが、そのさまはまるで、神託を背景に邪馬台国を治めた卑弥呼のようだった。荒木都議の覚えの良い議員に対しては、秘密裏に知事に直接陳情の機会を与えたり、特別な対応を行ったりすることも、荒木都議の力の源泉となっている。

 しかし、これは多くの都庁担当記者も目撃していると思うが、党の代表であるにもかかわらず所属議員の誰よりも議場で感情的なヤジを繰り返す荒木都議の姿に象徴されるように、政党を率いていくにはあまりにも人間的、政治的経験が不足している。彼女は彼女なりの責任感から“小さな小池百合子”になろうとしたのかもしれないが、あまりにも無理がある。